笠岡市・矢掛町中学校組合議会
行政視察

2007.10.19





愛知県犬山市
「教育行政への取組」



愛知県犬山市

 犬山市は、愛知県の最北端で名古屋市の北約25kmに位置している。そして北は木曽川を隔てて岐阜県に接している。
 鉄道・道路で名古屋市と結ばれ、大都市郊外の住宅都市である。
 現存する最古の天守閣を有する国宝犬山城、国宝如庵、日本ライン下りなどの観光施設にも恵まれていて、昭和62年には運輸省から「名古屋・犬山国際観光モデル地区」に、昭和63年には自治省から「国際交流のまち推進プロジェクト実施市」に、平成8年には運輸省から「国際会議都市」の指定を受けている。
 人口は約75,000人、面積は約74.97ku。


犬山市役所

犬山市議会
ビアンキ・アンソニー副議長 歓迎挨拶
左は犬山市教育委員会・学校教育部
滝 誠 指導課長

学びの学校づくり

 犬山市教育委員会は、全国学力・学習状況調査への不参加を決定した事を機会に、犬山の教育のさらなる深化・発展を目指して「学びの学校づくり」を推進している。
 
 犬山では「犬山の子は犬山で育てる」という考え方のもと、子どもの人格形成と学力保障を目指して、様々な教育改革を行なっている。

 犬山教育委員会は犬山の教育現場の実践をふまえ、国が進めようとした国主導の教育改革に対して様々な問題点を指摘してきた。
 特に全国学力・学習状況調査については、犬山の教育理念に合わないという判断から、この調査に「参加しない」事を決定した。


犬山の子は犬山で育てる

 調査に参加しないという決定を機に、犬山の教育のさらなる発展を目指し、「犬山の教育の重要施策2007 学びの学校づくり」を策定した。
 ここに教育の不易をふまえた犬山の教育理念について再認識し、この考えに基づいて学びの学校づくりを推進している。
 学校・教職員に対しては、学校の自立を進めることによって教師の自己改革を促し、子ども主体の授業づくりを目指すと共に、すべての子どもの学びを保障している。
 保護者や地域に対しては、学校教育現場での授業における子どもの具体的な姿を通して、犬山の教育についてより深い理解を得られるよう努力を続けている。


犬山市議会・委員会室

犬山市教育委員会・編集の書籍

人格形成

 犬山市では、人格形成と学力保障を目指し、自ら学ぶ力の育成をその柱と位置づけている。そのために学校現場に裁量を委ねることにより学校の自立を進め、教師の自己改革を促すことにより教師としての資質・能力の向上を図るとともに豊かな人間関係を育み、幅広い学力の形成に努めている。
 また学校を競争の場としてでなく、共生・協同の場として位置づけ、子ども同士、教師と子どもの人格と人格とのふれあいを通して豊かな人間関係の中で、人格の形成と幅広い学力の形成に努めている。

1.少人数による学びあい授業を通じて、子ども同士、教師と子どもとの豊かな人間関係を育む。
2.認め合い、助け合う集団づくりに努め、豊かな人間関係の中で人格の形成を図る。


学力保障

☆魅力あふれる授業を目指し、学習意欲を高める
☆少人数により子ども主体の授業を実現し、自ら学ぶ力を育む
☆評価を生かし、子どもを生かす

1.子どもの興味・関心に基づいた魅力ある教材を積極的に開発。

2.副教本「算数・理科・国語」の作成を通して、教師の教材分析力や単元構想力を高めるとともに、積極的な活用を図り、子どもの学習意欲を高める。

3.理科の副教本を発展させ、犬山独自の理科の準教科書作りを進める。

4.少人数学級において、一人ひとりがじっくりと学ぶとともに、子ども同士の学びあいを通して子ども主体の授業を実現し、基礎的な学力の定着を図るとともに自ら学ぶ力を育む。

5.日々の授業の中で、確認テストや観察などによる継続的な評価を積み重ね、個々の指導に生かすことにより、自ら学ぶ力を育む。

6.子ども自身が、授業への取組みの様子や学習内容の習得状況をつかむ振り返りカードを作成し、その活用を図るとともに、自己評価や相互評価などをその後の学習に生かす。




教師の自己改革による主体的な授業改善


☆同僚性に基づく校内研修
☆全市的な研修の充実
☆県費負担教員・市費負担常勤・非常勤講師の資質の・能力の向上

1.授業の公開・・・教師がお互いに授業を見せ合い、授業づくりについて学び合う場として、学校は毎月1回授業公開日を設定する。

2.学校訪問・・・学校訪問を各学校の校内現職教育計画の中に位置づけ、日常の授業実践として取組み、教師の自己改革を促す場とする。

3.要請訪問・・・教師の自己改革を促す研修の場として、各学校の要請に応じて客員指導主幹を中心に市教育委員会が積極的に支援する。

4.シンポジウム教育のまち・・・学校・家庭・地域が一体となって教育のまちづへくりを目指し、現在の取組みを見つめ直すとともに、今後の教育改革の方向性を探る。

5.犬山授業改善交流会・・・子ども主体の授業づくりを目指した授業改善の能力を高めるために、日常の授業改善の成果を持ち寄り、全市的な研修の場とする。

6.授業研究会・・・授業づくりの能力を高めるために有志を募り、指導方法の工夫改善について研修を深める。


学校の自立・学びの文化

1.学校裁量の拡大により学校の自立を進める
・・・学校裁量による学級編成・教育課程の編成

2.地域コミュニティと支えあう学びの学校づくり
・・・放課後子どもプランの推進
・・・子ども大学の開催
・・・部活動の支援

3.子どもの学びを支える学びの環境づくり
・・・学びの学校づくりに視点を置いた学校建築計画の推進
・・・安全で快適な施設・設備の整備


犬山市の副教本