誠信クラブ
行政視察

2007.07.12





長野県中野市
「売れる農業について」



長野県中野市

 中野市は、長野県の北東部に位置し、長野市からは鉄道で30分から40分程度の距離である。
 産業は農業がさかんで、リンゴやブドウの栽培では全国でも有数の品質と生産量を誇っている。
 また早くからエノキダケの栽培に取り組み、キノコや果樹、野菜、花きの施設栽培の先進地としても知られており、市長自ら「農業から元気をはじめよう」というキャッチフレーズで、「中野市ブランド」の積極的な推進を行なっている。
 平成17年4月1日に中野市と豊田村が合併して誕生した新「中野市」の人口は約47,500人、面積は約112.06ku。


中野市役所

中野市議会・議長公室


中野市の農業

 中野市では、エノキダケ、巨峰、アスパラガス等、手のつけたことのない作物の生産に挑み、どこよりも早く付加価値の高い商品へと育て上げてきた歴史が自信となっている。
 エノキダケをはじめとするきのこ栽培は、農業の姿を大きく変えた。産地間競争が激しくなってきているが、この分野のリーディング産地とし、新品種の開発、生産設備の開発など全国の注目を集めている。
 こうした先進的な開拓者精神と高い技術力を若手継承者にも着実に受け継いでいる。 
 ハウス栽培により農産物の付加価値を高め、204億円(平成17年度推定値)という農業生産を生み出している。
 また市内には、観光農園(巨峰、サクランボ、リンゴ)が数多くあり、大型バスで観光客も訪れ、中野市の観光資源となっている。


売れる農業推進室

 平成16年2月の市長選挙で現市長が、市の基幹産業である農業を活性化するため、行政が積極的に農作物の販売に関わる「売れる農業の推進」を公約に掲げて当選した。このことから平成16年4月から経済部に「売れる農業推進室」を設置した。
 農業を活性化していくためには、「農」を「業」として魅力あるものにしなければならない。そこに行政が積極的に支援することにより、基幹産業の農業に活気を取り戻すことができれば、間接的に他産業にも波及効果があらわれ、結果として地域経済全体の活性化につがるという考え方を基本としている。
 地産地消に関する事、多様なマーケティングに関すること、売れる農業情報の受信・発信に関すること、各種関係機関との連絡調整に関することを事務分掌としている。
 経済部・売れる農業推進室は、室長1名・係長1名・係員2名・パート1名の5名の体制で業務を行っている。


新種のキノコ(仮称・森の王子様)の味噌漬け
バイリング(白霊茸)と肉を使った丼

市役所近くの食堂で昼食
新種のキノコを中野市の食材として提供している

中野市売れる農業推進室発行
「きのこ料理レシピカード」
中野市売れる農業推進室企画
「2007 夏のギフト カタログ」

地産地消の推進

1 市内農作物・特産物ギフトカタログの作成
・・・・・夏冬と年に2回作成
2 定額制のギフトカードの作成
・・・・・特産物等と引き換えのできるカードの作成
3 「おいしい年賀状」の作成
・・・・・抽選で中野市産キノコがあたる年賀状
4 食農教育の推進
・・・・・学校給食の地域食材活用促進と、食農教育の推進
5 キノコ料理コンクールの実施
・・・・・「我が家の料理大集合」
6 キノコ料理レシピ集の作成
・・・・・キノコ料理コンクールの入選料理とJA中野が推薦するレシピ集を市内全戸に配布 (33点)
7 売れ農フォーラムの開催
・・・・・「これからの農業・農村活性化の方向」
・・・・・「産地から食卓へ 楽しい食事の演出者」
8 郷土料理等の普及啓発
・・・・・地元農作物の使用した料理や郷土料理の普及啓発
・・・・・料理講習会 (平成18年度は年46回開催)
9 農作物直売所及び観光農園のPR支援
・・・・・ホームページ及びマップの作成


多様なマーケティングの推進

1 JA等とともに、都市圏及び姉妹都市等における消費者との交流を通じ市の紹介、中野市農作物の消費拡大、都市との交流の推進
・・・・・・平成18年度では全国8箇所で11日間開催
2 ホームページを利用した中野市特産物の等の情報発信
・・・・・中野市ホームページでの農業活動・農作物・直売所情報・観光農園情報・売れ農レポート等、最新情報の発信
・・・・・農家の販売支援のためホームページ作成講座を開設
3 テレビ番組等の制作に対する協力・支援
・・・・・長野放送「わがまま!気まま!旅気分2007冬」 他

 中野市の「売れる農業推進室」は、具体的に農業を売り込むという組織であり、行政がここまで関わるという事に驚いた。
 中野市の基幹産業の活性化という事であれば当然なのかもしれない。
 こうした積極的な支援が市民にも浸透して、キノコを中野市のブランド化に育て上げている。
 また生産者も新しい品種の開発に積極的に取り組んでいる。
 笠岡市においては、ブランド化がまだまだ確立できていない。これだけは日本一という農作物を育てていく必要があるのではないか。
 農業の活性化が他の産業の活性化にもつながるような元気あふれる施策を知恵を絞って考えなければならないと感じた。