誠信クラブ
行政視察

2007.07.10





長野県松本市
「クラインガルテン事業について」



長野県松本市

 松本市は、長野県のほぼ中央に位置している。
 江戸時代には松本藩の城下町として栄え、明治時代からは製糸業、そして第二次世界大戦中の工場疎開からは電気・機械・食料品、また最近ではソフトウエア産業が伸びている。
 平成5年に長野自動車道が全線開通、平成6年には松本空港ジェット化整備、平成9年には北陸地方を結ぶ安房トンネルが開通した。
 平成12年11月1日には特例市の指定を受け、平成17年4月1日には、近隣の四賀村・安曇村・奈川村・梓川村と合併した。
 今回は、旧四賀村にあるクラインガルテン事業について視察を行なった。
 人口は約227,500人、面積は約919.35km2


松本市役所・四賀支所

松本市役所・四賀支所・会議室

クラインガルテン事業

 滞在型の市民農園の事を「クラインガルデン」という。一般市民農園と違って、休憩小屋(ラウベ)とよばれる休憩施設がついている。
 松本市では、四賀地区に「坊主山クラインガルテン」・「緑ヶ丘クラインガルテン」の2つの施設、また奈川地区には「入山クラインガルテン」・「大原クラインガルテン」「神谷クラインガルテン」の3つの施設を所有している。
 四賀地区は、有機無農薬栽培による安全な野菜作りを推進しており、2箇所のクラインガルテンでも有機無農薬栽培・緑豊かな美しい景観作り・都市と田舎との活気ある交流を実践している。
 入園者は「信州松本・四賀クラインガルテン倶楽部」に入会し、地域住民が「田舎の親戚」としてボランティアで野菜作りや収穫時期などのアドバイスを行なっている。
 この事業は、四賀地区に増加する遊休荒廃地を活用し、都市住民へ農作業の場所を提供することによって都市と農村の交流を図り、過疎・高齢化に悩む地区の活性化を図ることを目的としている。


坊主山クラインガルテン

ラウベ付農園・・・53区画
敷地全体・・・270〜300u
ラウベ建築面積・・・27u
畑面積・・・100〜120u
付属施設・・・クラブハウス1棟
総面積・・・30,109u
建設事業費・・・6億2183.5万円
補助事業・・・
平成4年度
 農用地有効利用モデル集落整備事業
平成5年度から8年度 
 農山村活性化定住圏創造事業

利用料金 (年額・但し入会初年度は10万円UP)
101号〜103号(4区画)・・・10万円〜15万円
105号〜135号(18区画)・・・20万円
201号〜335号(31区画)・・・25万円


坊主山クラインガルテン

緑ヶ丘クラインガルテン

緑ヶ丘クラインガルテン

ラウベ付農園・・・78区画
敷地全体・・・270〜300u
ラウベ建築面積・・・30u
畑面積・・・100u
付属施設・・・クラブハウス1棟
建設事業費・・・8億5761.4万円
補助事業・・・
平成12年度から15年度 
 新山村振興等農林漁業特別対策事業

利用料金 (年額・但し入会初年度は10万円UP)
101号〜327号(52区画)・・・36万円
328号〜360号(26区画)・・・39万円


利用条件

@クラインガルテン区画内における花・野菜作りは有機農法で行わなければならない。(有機栽培が行えるように、講習会・個別指導も受付けている。)
A冬季期間を除きクラインガルテンを1ケ月に3泊ないし6日以上利用し、草取りなどの必要な手入れを行わなければならない。
Bクラインガルテンでの必要な日用品・資材等は地区内で調達しなければならない。
Cクラインガルテン区画の美しい庭づくりを積極的に行わなければならない。
D倶楽部の年間活動プログラムに参加する意思があり、倶楽部内、地域の交流事業に参加しなければならない。
E信州松本・四賀クラインガルテン倶楽部憲章を遵守しなければならない。


ラウベ内部

農園


応募条件

@クラインガルテン利用希望者は個人説明会に参加しなければならない。
A利用希望者多数の場合は抽選となる。
B利用期間は毎年4月1日〜翌年3月31日までで、期間内の中途解約は認めない。
C利用年度以降、4回まで利用更新ができる。
D区画の管理が適正でない場合は、利用許可を一方的に解除し、翌年の利用を断る場合がある。
E住居ではないので、住所を移して住むことはできない。


クラインガルテン事業の現状と今後

 主に60歳代のリタイアされた方を中心に、関東から関西、遠くは広島からも応募があるという。
 この事業は毎回、募集定数に対して7倍〜10倍前後の応募があるいう事で、利用希望者の需要に対する供給が追いつかない現状だという。
 施設を増やせば良いのだが、建設費用の回収が長期間になるため、なかなか増設が難しいという。(2つの施設の建設事業費が約14.7億円)
 笠岡市において、離島の遊休地の利用という手法も考えられるが、ラウベの建設費用等が課題となり、ラウベを建設せずして、空家で対応することも考えられる。
 松本市の場合、高速道路を利用して大都市から車で直接乗り入れできるというメリットと、北アルプスの広大な自然が魅力である。
 笠岡市の島を考えた場合には、自然では瀬戸内海国立公園の多島美は引けをとらないにしても、船を利用しなければならないというハンディを克服する知恵が必要だと思われる。


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