誠信クラブ 行政視察 2002.02.12〜14 宮崎県日南市 「観光行政について」 宮崎県都城市 「都市計画について」 |
以上のように、観光資源にめぐまれた日南市の観光客の入込み数は、年間約120万人である。(@鶏戸神宮・約70万人・Aサボテンハーブ園・約20万人・B飫肥城周辺・約12万) 宮崎県内からが約45万人。県外が約75万人で、そのうち海外からが約2.5万人とうーいう。最近では、特に東南アジアからの観光客に力を入れている。観光パンフレットや観光案内板を、中国語やハングル文字で製作して積極的にPRをしている。 ちなみに笠岡市は、年間約50万人の観光客で、その6割が笠岡湾干拓地内の「太陽の広場」である。日常的な公園利用者だけでなく、公園の広場を使ってのグランドゴルフ大会等のニュー・スポーツのイベントへの参加者の他に、手軽に家族やグループで遊ぶことができるとあって近隣の広島県東部からの客が目立っている。しかし太陽の広場への観光客からの経済効果はほとんど期待できない。 一方で、既存の観光地である笠岡諸島や美術館・博物館等は、観光客が伸び悩んでいる。瀬戸内海国立公園の笠岡諸島という魅力ある観光資源を活かしきれていないという現状を考え直す必要があると思う。 また笠岡市には、「生きた化石」と呼ばれるカブトガニをテーマにした、世界唯一の博物館である「カブトガニ博物館」や、郷土出身の日本画家「小野竹喬」画伯の作品を展示した「竹喬美術館」があるが、街並み全体を整備するに至っていない。中心市街地は、古くは港町・門前町として栄えたが、区画整理事業により、その景観は一変してしまった。また西の浜地区には、港町の象徴としての倉庫群があるが、保存もされず解体されたものもある。もっと観光という視点での街づくりを考え直す必要がある。またこれからの観光には、国際化が求められてきていると痛感した。 日南市の場合、城下町としての古い歴史と文化をうまく整備・保存して観光資源として大いに活かしている。また日南市においては、プロ野球「広島カープ」のキャンプ地としても有名であるわけだが、市を挙げて絶大なる歓迎をしている。広島カープの2軍が使用している球場の横に、飫肥杉を使用して建設した屋内体育施設も見学させて戴いた。また1軍が使用する球場は駐車場が狭く、近隣の市営住宅を解体して駐車場にする計画があると言う。こうした広島カープのキャンプによる経済効果が年間約7億円と言われていた。 また年間を通じて様々なイベントも実施して集客に務めているという。そして住民参加型として、「日南市観光ボランティアガイドの会」が会員28人で、ユーモアを交えた史跡の解説をしているという。 笠岡市においては、中心市街地の活性化を目的に「おかげいち」と銘打ったイベントを市・商工会議所・商店街の三者共同で、商店街でのフリーマーケット・抽選会等を通じて「にぎわい」の創出に努力している。商店街での地域リーダーの育成や、最近では地元、小学生や高校生の出店があり、住民参加による地域の活性化を目指しているところである。また、毎年夏には「笠岡港祭り」において、土曜日夜の「よっちゃれ」踊りに、地域・職場・グループなどで連を作って参加しているが、もっともっと広がりが必要である。 地域の特産品の開発ということで、日南市では、「伝統的な味」という27ページの冊子に。郷土料理の作り方をわかりやすく記している。また「里の味と技」という57ページの冊子には、地元の伝統的な味の銘菓・海産物・果物・蜂蜜等、また伝統的な工芸品が掲載されている。これを見た観光客が直接、訪ねることができるように案内地図も掲載している。また後日、宅配できるような注文書(FAX・はがき)・アンケートまであるので、リピート客に対しても配慮している。 笠岡市においては、もともと海の幸と果物に恵まれたところで新鮮な食材は多いものの、特産品・土産になるものが少ない。現在、笠岡特産のイチジクを使った「イチジク抹茶羊羹」や白石島で採れるやわらか昆布を使った「とろける昆布」や、北木島産出の花崗岩を使った小物等の開発を行っている。そうした特産品の開発を積極的に取り組まなければならないと思う。 日南市においては、美しいリアス式海岸を持ち、国定公園に指定されている素晴らしい自然環境を活用して、海水浴場やキャンプ場、ケアハウスなどの観光施設を整備している。また飫肥城周辺の重要伝統的建造物保存地区、日本の棚田百選の「坂元棚田」等の観光資源を有効に利用している。また広島カープのキャンプ地としての市を挙げての絶大なる支援、観光の国際化等、観光行政の積極的な取り組みを大いに見習う必要があると感じた。 とにかく笠岡市においては、瀬戸内海国立公園の美しい島々をもっともっと活用しなくてはならないはずである。瀬戸内海の島々は、「癒し」の場としての魅力があるはずである。積極的な観光行政の推進とともに、市民が「行動」をおこさなければならないと思う。 |
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