2001.11.20〜22

青森県・黒石市 

「行政改革について」 「中心市街地活性化計画について」


北海道・函館市

 「行政改革について」 「函館市まちづくりセンターについて」



誠信クラブ・行政視察


青森県・黒石市「こみせ」
中心市街地の活性化に古い文化を見直している。

函館市のレンガ造りの旧・郵便局
現在は、ガラス館となっている。



行 政 視 察 報 告 書

                              平成13年11月24日

笠 岡 市 議 会 議 長 殿

     

(出張者)

議員

明 石 和 巳

議員

坂 本 公 明

 

議員

井 口 和 光

議員

角 田 訓 也

 

議員

原 田 てつよ

議員

藤 井 義 明

 

下記のとおり行政視察を実施したのでその結果を報告致します。

【1】 青森県 黒石市議会

住所

青森県黒石市大字市ノ町11−1

電話

0172−52−2129  FAX 0172−53−7410

視察案件

行政改革について

期日

平成13年11月20日(火) 13:50〜14:50

応対者

黒石市議会・山形正臣事務局長
黒石市企画商工部・企画調整課・川守田健造課長

視察状況

別紙写真 

訪問施設

黒石市議会事務局 

概要


 青森県黒石市は、十和田湖の北西で、津軽平野の東南部に位置している。面積は217kuで、総面積の約80%が山岳地帯である。人口は約4万人である。

 行政管理の特色として、「行政改革推進本部」を設置している。財政再建に不可欠な行政改革を効果的にかつ速やかに進めるため、本部の下部組織に幹部職員を中心としたワーキンググルーブを設けている。平成13年からの新行政改革大綱策定にも中心的役割を演じている。
 またPFI法に基づき、どのような事業が可能かを検討するために、PFI研究会を管理職10名で設置している。手続き法律面の課題を整理した実務に役立つ報告書作成を目指している。

 黒石市においては、平成8年1月に「黒石市行政改革大綱」を策定した。さらに平成11年1月に「黒石市行政改革実施計画」を策定し、平成12年度までに取り組む主な課題を取り上げて、行政改革に取り組んできた。しかし平成10年度には一般会計が赤字決算となり、平成11年10月に「黒石市一般会計中期試算と今後の財政計画」を策定し、平成19年度までに赤字解消を目指している。そして平成13年3月に「新黒石行政改革大綱」を策定し、平成13年度から平成17年度までの5ヵ年の推進期間を設けた。
 また平成13年度から平成14年度までの「新黒石市行政改革実施計画」も策定した。
 その実施計画には、公用車の見直しとして、平成13年度に一元化計画を検討し、市長車・議長車を廃止し民間委託しようとしている。また全庁的な機構改革を推進し、ただ1つある支所も廃止を検討している。定員適正化計画に基づいて平成13年度から14年度で一般行政職8名の削減も実施する計画である。今までに市立保育所をすべて民間委託しているが、他の施設に対しても積極的に民間委託を検討している。

 一般会計の赤字決算という危機的な状況の中で、思い切った積極的な行政改革を推進している。最悪の事態になって行政改革もやらざるを得ない状況で、職員も一丸となって取り組んでいる。
 こうした赤字決算を生んだ背景として、大型の施設建設が致命的だったと言っている。特にスポーツ・カルチャー施設という大型事業が赤字決算の要因だったという事である。

 笠岡市の場合、最悪の状態一歩手前の徹底した見直しでやや好転しているものの、今後の事業に対して慎重に対応するとともに、現在進めている行政改革をもっともっと加速して行わなければならないと感じた。はやり行革では民間委託の推進と職員の削減が効果があるという。職員全員が危機感をもって取り組む事によって、はじめて行政改革がスタートすると感じた。

添付資料

 視察資料  視察状況写真 名刺





黒石市の古くからの「酒屋」と「こみせ」

新たに整備した「こみせ」


【2】 青森県 黒石市議会

住所

青森県黒石市大字市ノ町11−1

電話

0172−52−2129  FAX 0172−53−7410

視察案件

中心市街地活性化計画について

期日

平成13年11月20日(火) 14:50〜16:10

応対者

黒石市企画商工部・商工観光課・福士勝彦課長補佐
黒石市議会・議会事務局・長谷川直伸主査

視察状況

別紙写真 

訪問施設

黒石市議会事務局 

黒石市中心市街地「こみせ」「かぐじ」の現地視察

概要


 黒石市は、城下町として陣屋を中心として栄え、明治以降も南津軽郡役所所在地として政治・文化の中心地として発展してきた。行政施策の重点事項として地盤沈下が著しい中心市街地の活性化対策。市街地活性化法に基づく基本計画にTMO(街づくり会社)支援事業を盛り込み、官民一体となった街づくりの取り組みを行っている。  
 
 黒石市では、平成10年6月に成立した「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」(平成10年法律第92号)に基づく基本計画を作成した。(略称中心市街地活性化法又は中活法) これは、郊外への大型店の進出等により、全国的に中心市街地の衰退が進行しており、黒石市においても空き地・空き店舗が多数発生し、空洞化が急速に進行した。
 中心市街地は、黒石市の歴史・文化を育んできた場としてだけでなく、市の顔ともいうべき場所であり、再活性化をめざして計画を作成した。
 基本計画作成のため、黒石市中心市街地活性化基本計画作成委員会を設置し、平成10年11月から委員会3回・作業部会5回・商業者ヒアリング1回、計9回の会議において下記の計画書を作成した。 

 「こみせ」について
 江戸時代中期から建築された、現代の言い方をすると木造のアーケードである。黒石市は、寒冷で雪も多いことから、冬の吹雪から歩行者を守ってくれるほか、夏の強い日差しからも守ってくれるものである。新潟方面から伝えられたといわれており、雁木(がんぎ)と同じものである。江戸・明治・大正時代に建築された「こみせ」が市街地に残されている。

 「かぐじ」について
 商店街は、間口が狭い割に奥行きが長いところが多い。その裏地は、庭園や畑として利用されてきたが、最近では空き地となっているところが多い。津軽地方ではこの裏地を「かぐじ」と呼んでいる。
 
 そうした「こみせ」「かくじ」を保存・再整備することによって中心市街地の活性化を図ろうとしている。そして中心市街地活性化法の基本方針に基づき、計画策定の対象とする中心市街地を決定した。その決定根拠として、@相当数の小売商業及び都市機能が集積し、市の中心としての役割を果たしている。A土地利用及び商業活動の状況から、機能的な都市活動の確保又は経済活力の維持に支障を生じるかそのおそれがある。 B市街地の整備改善及び商業等の活性化を一体的に推進することが、市及び周辺地域の発展にとって有効であるとした。

 
 黒石市の中心市街地活性化整備事業の経緯

平成元年 3月  定住拠点緊急整備事業
平成元年 4月  横町かぐじ開発基本計画
平成4年 3月  横町活性化実施計画・中町こみせ通り再生・修復計画
平成5年 3月  中町こみせ通り街路基本計画
平成6年 3月  特定商業集積整備基本構想等作成調査
平成9年 3月  横町かぐじ広場(ポケットパーク)整備
平成10年4月  中町こみせ通りから横町かぐじ広場回遊通路整備
平成10年度   黒石市中心市街地活性化基本計画作成。通産省補助事業
平成11年7月  通商産業大臣へ基本計画送付
平成11年11月 黒石市中心市街地活性化連絡会開催
平成11年度   黒石商工会議所が商業タウンマネージメント(TMO)構想策定。
           通産省補助事業(H11.8.20〜H12.3.31)(社)日本都市計画学会
平成12年6月  第3セクター「津軽こみせ株式会社」設立
平成12年7月  津軽こみせ株式会社より、黒石市へTMO構想認定申請書提出
           黒石市中心市街地活性化基本計画を変更
平成12年8月  黒石市より津軽こみせ株式会社へTMO構想認定書を交付
平成12年9月  津軽こみせ株式会社がTMO計画策定。通産省補助事業期間
            (H12.10.9〜H13.3.31) ランドブレイン株式会社
平成13年1月  活性化拠点施設整備を決定
平成13年4月  津軽三味線奏者渋谷幸平を採用
平成13年5月  活性化拠点施設整備開始
平成13年7月  活性化拠点施設「津軽黒石こみせ駅」開業


 黒石市の古くからの文化を見直して、中心市街地の活性化を図ろうとしている姿に共感する。歴史的な遺産を残し、黒石市の文化を継承していく事業は見習わなければならないと思う。現地を視察して、古くからの商店・造り酒屋が建ち並ぶ一角は、「日本の道・百選」にも指定されている。
 笠岡市の中心市街地は再開発して古い街並みが消えて、新しい街並みとなったわけだが、現在の新しい街並みに「新しい笠岡の文化」を芽生えさせていかなければならないと思う。文化は創造するものである。我々の子孫に誇れる文化を考えなくてはならないのではないか。笠岡も中心市街地の活性化を真剣に考えなくてはならない。

 

添付資料

 視察資料  視察状況写真 名刺




函館市議会・委員会室にて

函館市議会・議事堂



【3】 北海道 函館市議会

住所

北海道函館市東雲町4−13

電話

0138−21−3756  FAX 0138−27−4185

視察案件

行政改革について

期日

平成13年11月21日(水) 14:00〜15:00

応対者

函館市議会事務局・議事調査課・菅井宣夫課長
函館市総務部人事課・山中孝夫主査

視察状況

別紙写真

訪問施設

函館市議会  

概要


 函館市は、北海道の南端部に位置し、北海道とすれば比較的温暖な気候、恵まれた自然、集積された都市機能、異国情緒あふれる街並みなどの特性を生かしつつ、北海道と本州を結ぶ交通の要衝として、また、南北海道の行政・経済・文化の中心都市として成長を続けてきた。面積は、346.9kuで人口は約29万人弱である。

 健全な行財政運営は、不断に取り組むべき恒久の課題であるという認識のもとに、「最小の経費で最大の効果」や「スクラップ・アンド・ビルド」を基本とする事務事業の見直しに昭和61年度より継続的に取り組んでいる。現在は平成12年度から平成21年度までの10ヵ年を計画期間とした「第3次函館市行財政対策推進要綱」(平成11年7月策定)に基づき、函館市の行財政改革を計画的かつ市民にわかりやすく推進するために、具体的な取組項目や実施目標時期を明らかにした「推進計画」及び前期5ヵ年の「実施計画」を策定し、第3次の行財政改革を推進している。

 函館市においては、一般会計の赤字決算という最悪の状況から、行政改革を積極的に推進している。昭和61年からの定員管理については実に10年間で500名の削減を掲げて、いくらか目標を下回ったものの大幅な削減を行ってきた。
 また平成12年度から21年度までの10ヵ年においても、第3次函館市行財政対策推進計画において、前期5ヵ年で200人程度、後期5ヵ年で300人程度、10ヵ年の合計で500人程度削減することを目標としている。(平成13年5月1日の時点での職員数は3,869人)
 
 こうした職員の削減により積極的な民間委託を行っている。こうした徹底的な行政改革の推進により、財政力は安定してきている。やはり危機感をもって職員が一丸となって全力で取り組む必要を痛切に感じた。「やればできる」という実践事例を視察させて戴き、笠岡市の行政改革にも大いに参考にしたい。

添付資料

 視察資料  視察状況写真 名刺





【4】 北海道 函館市議会

住所

北海道函館市東雲町4−13

電話

0138−21−3756  FAX 0138−27−4185

視察案件

函館市まちづくりセンターについて

期日

平成13年11月21日(水) 15:00〜16:00

応対者

函館市企画部・政策推進室・政策調査課・笠井佳彦課長
函館市企画部・政策推進室・政策調査課・佐藤尚之主査(まちづくりセンター担当)

視察状況

別紙写真

訪問施設

函館市議会  

概要


 函館市では、新たに、市民の活力を生かす街づくりを進めるため、政策研究と市民活動支援を行う「函館市まちづくりセンター」を平成12年5月1日、函館市役所6階の企画部内に設置した。
 設置目的は、中・長期的視点に立ったまちづくりに係る新規施策等について調査・研究を行うとともに、市民が自主的に取り組むまちづくり活動支援する関連情報を収集・提供し、もって行政と市民、団体、企業など、地域が協働し、豊かで質の高いまちづくりを推進することとしている。当面は政策研究機能に重点を置き、地域シンクタンクとして運営を行っている。

 組織は、事務局として、まちづくりセンター事務局長、政策調査課長、そして主査・係員が3名である。そして高等学校校長のセンター長と研究員(大学教授・助教授・プランニング事務所代表者)が現在3名いる。

 政策研究機能
 政策研究機能として、中・長期的視点に立った市のまちづくりを進めるための新規施策や課題解決が求められている施策について、街づくりセンター研究員(民間学識経験者等)が調査・研究するほか、まちづくりセンター研究員と市職員が共同で調査・研究し、その成果を今後のまちづくりに生かしている。尚、調査・研究の内容については、政策情報誌「サリュート・函館」等を通じて広報している。

 市民活動支援機能
 市民活動支援機能として、「まちづくりセンター」をまちづくり活動についての情報提供窓口として整備し、市内のまちづくりに関する人材や団体の情報および国内外のまちづくりの先進事例等を収集し、市民に提供している。また、市民活動への支援をより効果的なものとするため、まちづくり活動団体との懇談会を開催している。
 まちづくりに関する情報の収集・提供、まてづくりに関する人材や団体の情報の収集・提供という事でデータベースの充実を行っている。そうした情報をインターネットで提供している。(まちづくり関連人材データベースに195人・まちづくり関連団体データベースに512団体が登録されており、函館市のHPに掲載している。)

 人づくり・まちづくり事業の推進
 人づくり・まちづくり事業の推進として「人づくり・まちづくり事業」も、まちづくりセンターで担当し、事業を効果的に進めている。
 人づくり支援事業として、市民自主研修支援事業、中学生海外派遣事業がある。
 まちづくり支援事業として、まちづくり活動支援事業、まちづくり活動ランクアップ支援事業がある。

 「函館市まちづくりセンター」の取り組みは、新しい市長の公約であったという。その新しい市長は、市役所の職員・助役と40年間の役所勤務だったというが、企画関係に精通しており、役所的な発想とかけはなれた斬新な考え方で、市民と協働のまちづくりを目指している。
 現在、12名の市職員のワーキンググループによる政策提言の検討を行っているという。函館改造という政策検討に期待が寄せられている。
 笠岡市においても、職員・市民によるワーキンググループがいろいろな提言を行っていた時期があったと思う。今後もそうしたワーキンググループの積極的な提言を行う必要があるのではないだろうか。


 

添付資料

 視察資料  視察状況写真 名刺