「港を中心とした街づくり」(石垣市の都市再生について)

「石垣市公設市場」

2006.02.07〜08

沖縄県石垣市

誠信クラブ・行政視察





 沖縄県石垣市

 石垣市は、沖縄本島から411Km、台湾へ277Kmで日本最南端に位置する。
 八重山諸島の中核をなす石垣島と尖閣列島などの12の無人島からなり、人口は約44,000人、面積は228.93kuである。

 観光客の伸びが著しく、人口や戸数も増えており、経済的なデータ上でも大変活気があふれている。
 最近の観光客は、少人数で訪れ、自然に親しみ、文化をあじわい、そして一時的でも住民と一緒に生活をすることを求めるようになった。
 それにより文化の奥深さを知り、感動が生まれ、リピーターとして再び訪れ、ついには石垣市に移住し、活気をもたらしている。
 「まちづくり」は単に都市の形態や外観を整えるだけでなく住民の文化や様々な活動等が「まちづくり」の要素となってきている。そのような観点から石垣市では様々な行事を市民総出で経費をかけずに協力し、元気な「まちづくり」を展開している。


石垣市役所

石垣市議会・会議室


石垣都市再生事業
(石垣市中心市街地地区)

 港を中心とした街づくり・・・都市再生事業

 大目標
「ようこそ とぅもーるへ 交流拠点いしがき〜
海に開かれた交流による都市観光の推進のために

 小目標1
 港と中心市街地を人の交流を促進する拠点として一体的に形成
 (1)中心市街地と石垣港の結節強化
 離島観光客をいかにして、中心市街地に集めるか。観光客の流れを取り込む施策を展開。
 (2)中心商業地の魅力化
 既存ストックのリニューアル、新たな機能の導入により街なかの魅力を向上させ、その吸引力を周辺へ波及させる施策を展開。
 (3)中心商業地への市民の集客
 市民をいかにして中心商業地へ集めるか。街なかへの交通利便性の向上や集客広場を創出する施策を展開。

 小目標2
 石垣・八重山の地域資源を活用し、「石垣らしさ」を再生
 (4)石垣らしい街並みの再生
 (5)石垣の固有文化の活用
 観光客や市民から支持されるまちづくりのモチーフとして、「石垣らしさ」を創出する施策を展開。

 小目標3
 情報等の充実を図り、観光客・買い物客等来街者をもてなす機能強化
 (6)来街者に親切なまち
 わかりやすいまちへの対応、観光客に対する市民の暖かいもとなし等の施策を展開。



 石垣市公設市場

 石垣島では1800年代から海岸に小屋を建てて物々交換や掛け売りをしていた。
 そして八重山で初めて貨幣が使用された1879年(明治12年)の廃藩置県後に、現在の公設市場を含む周辺商店街が形成された。
 1899年(明治32年)に公設魚市場として創設され、1904年(明治37年)に現在地に移転設置した。
 そして1949年(昭和24年)に、敷地面積を411坪に拡張、1954年(昭和29年)に衣料マーケットを竣工、1957年(昭和32年)に鉄筋コンクリート建(129坪)に改築した。
 その後、建物の老朽化、店舗の売り場構成・レイアウト等の課題を解消するために、昭和62年、現在の公設市場に全面改築した。
 5億2000万円の建設費で、半地下タイプの地上2階建、総延べ面積は2848uである。
 石垣市直営の公設市場は、精肉・鮮魚・野菜・惣菜・衣料・食堂の売り場をはじめとして、催事場・消費者啓発室・物産展示室・会議室・青空広場等の機能を備え、公衆衛生・食品衛生にも十分配慮したモダンな構造になっている。
 平成14年7月より毎月18日を「市場の日」と位置づけ、公設市場を中心とした中心市街地の活性化を図っている。その手始めとして「石垣市公設市場商品券発行事業」を導入している。
 公設市場の管理については、平成13年から第三セクター、潟^ウンマネージメントに一部委託しているが、平成18年4月1日より「指定管理者制度」へ移行する。


石垣市公設市場

石垣市役所の近くに竹富町役場がある
竹富島に役場があるよりこちらの方が便利だという。

石垣市立図書館
沖縄風の屋根で景観を整えている。

石垣港

石垣市の街並み




「定住促進事業・若者定住促進条例」

「体験滞在交流促進事業」

2006.02.09

沖縄県宮古島市

誠信クラブ・行政視察





 沖縄県宮古島市

 沖縄本島から南西へ約300km離れた大海に寄り添うように浮かぶ大小8つの島々が宮古群島である。
 宮古島は沖縄県の農地の約3割を有しており、農業と観光の島である。
 宮古島市は、平良市・城辺町・上野村・下地町・伊良部町の1市3町1村が、平成17年10月1日に合併して誕生した。
 人口は約56,000人、面積は228.64ku。



宮古島市役所

宮古島市議会・議長室

 下地町若者定住促進事業

 宮古島の南西部に位置する旧下地町は人口約3000人で過疎化が進んでいた。
 若者の第1次産業への就業を促進するため、新たな農業・漁業・伝統工芸産業等に就業した場合、3年間にわたり合計で300万円を支給する支援制度を創設した。
 平成4年度から平成18年2月9日までに支給した奨励金や祝金は、合計で623件、1億5570万円になる。
 49歳以下の町民が結婚した場合、5万円の結婚祝金、出産祝金は、第2子までは5万円、第3子以降は10万円である。
 39歳以下の農林漁業専業者育成奨励金・伝統工芸専業者育成奨励金は、新規の場合3年間にわたり100万円で合計300万円である。
 39歳以下の若者定住住宅建築奨励金として住宅を新築または購入した場合20万円を支給。(5年間は町内に住むことが支給要件)
 定住促進事業により、人口は微増している。
 合併して宮古島市となり、3年後にはこの事業は終結する。


 体験滞在交流促進事業

 宮古島諸島に訪れる観光客は年々増加しており、個人で自由に計画を立てるフリープランの観光客が約半数にも達している。
 そうした観光客の体験滞在型ツアーの必要性とリピーター確保が課題となっている。
 そのため地域の特性を活かした体験滞在型交流施設を整備し、長期滞在型と農業体験など体験交流事業を推進している。
 この事業は、地域の豊かな自然環境や文化等を体験し、地域住民と交流を図るため、体験滞在プログラムの作成、インストラクター等の人材育成、プログラム実施に必要な施設の整備及び地域住民とボランティアが一体となった地域の自然や文化の保全・創造に資する活動を促進している。


宮古島市議会・会議室

エメラルドグリーンの海
宮古島の素晴らしい自然

観光振興対策

☆各種スポーツキャンプのメッカづくり
(プロ野球・大学野球・各種スポーツの誘致)
☆全国キャンペーン活動の展開
(宮古観光大使の任命・修学旅行の誘致)
☆国際交流協会の設立
(国際派としての若者の人材育成)
☆外国人ネットワークの構築
(島内在住の外国人ネットワークの構築)
☆国際姉妹都市・有効都市交流交流の推進
(ドイツ・台湾・ハワイ島の国際姉妹都市・有効都市並びにアジア健康都市との交流を積極的に推進)
☆外国人受け入れ事業の整備
(諸外国より来島する観光客の受け入れ態勢充実)
☆人材の派遣
(観光振興のため、宮古観光協会に人材を派遣して組織を強化。沖縄体験滞在交流促進事業や様々なイベントを連携して実施)





「うらそえ美らまち夢プラン・珊瑚養殖事業」

2006.02.10

沖縄県浦添市

誠信クラブ・行政視察





 沖縄県浦添市

 浦添市は、沖縄本島の南側に位置し、東支那海に面する西海岸沿いにあって、東に西原町、南に那覇市、北東に宜野湾市が隣接している。
 飛び地を含む市域は、東西8.4km 、南北 4.6kmで、北を頂点として南西と南東に広がった扇状の形をしている。
 浦添市の米軍施設は、牧港補給地区(面積273.8ha)施設で市面積の14.4%を占めている。牧港補給地区は、昭和23年、米軍の強制的な土地接収により基地建設が進められ現在に至っている。主に軍需物資の補給基地としての役割を担い、昭和47年、本土復帰に伴い施設内の米国民政府は廃止され日本政府の提供施設となる。、
 総面積は、19.06ku
人口は約106,000人


浦添市役所

株式会社 Aqua Culuture Okinawa
平良社長の概要説明

 うらそえ美らまち夢プラン

 美らまち夢プランは、市民・住民自ら考え、行動する「地域づくり活動」を助成し、人と人をつなぎ、人と土地との関わりを取り戻す協働のまちづくりの推進を目指した事業である。
 助成の対象となる活動は、「浦添市に根ざした地域づくり活動」とし、市内の公園・道・広場・空き地・緑地・川・海などの場を対象に地域の生活や自然環境の向上を目指した活動、また世代間交流や地域の交流などコミュニティの活性化を目指した活動などあらゆる地域活動に対してである。
 平成17年6月1日から、6月30日までを募集期間として、助成金額は5万円から25万円で、総額で115万円以内で、審査は公開審査で平成17年7月9日に行った。

 そして沖縄電力の社内ベンチャー制度である「MOVE2000プログラム」を活用した株式会社 Aqua Culuture Okinawaの「珊瑚養殖事業」が助成の1つに選ばれた。


 珊瑚の養殖事業

 この事業は、珊瑚類等の海生生物を養殖し、主に観賞用として販売する事業で、養殖技術は平成15年度沖縄産官学共同研究推進事業「珊瑚卵からの珊瑚生産による環境保全技術の開発」の研究成果を活用している。
 最大の特徴は、地下海水と自然光の利用による低コスト生産である。
 珊瑚等の生育に最適な海水温度は、25〜26度である。その条件を満たす地下海水を利用し、自然光を取り入れる事が可能な屋外養殖施設で太陽光線を供給している。
 そして最終的に人工光養殖施設で光を充分に与えて色付けし、エンドユーザーの飼育環境に慣らして本土の問屋に出荷している。



人工光養殖施設

出荷前の水槽
 
 養殖珊瑚のブランド化

 親苗から分割して養殖(無性生殖)、並びに珊瑚卵(有性生殖)を行なうことにより、親苗の珊瑚を採取することなく、環境に優しく大量生産が可能である。
 また珊瑚を番号を記した台座(基盤)に固定して出荷することにより、密漁ものと区別・差別化をしている。
 将来的には、食用に適用されているトレーサビリティシステムを応用・導入し、密漁ものとの区別をシステム化するという。
 現在、観賞用の珊瑚の市場構成は、約10万個体(70%)がインドネシアからの輸入で、約2万個体(15%)がソフトコーラルを中心とする国内もの、約3万個体(15%)が出所の不明確なものである。
 インドネシアの珊瑚礁が大幅に減少していることから、ワシントン条約の適用により、輸入量が年々減少している。今後正規な養殖もののブランド確立により販売量を増やしたいという。

 

環境教育への取り組み


 沖縄の海洋環境保全に積極的に取り組んでいくという理念から、養殖施設を研究・学習の場として提供していく予定という。
 具体的には浦添市内の小学校等と連携し、養殖施設の水槽内で飼育している海洋生物を公開し、海中に潜ることなく珊瑚礁生物の生態観察や研究員による解説等を通して、沖縄周辺海域の状況を知り、環境保全の重要性を実感して欲しいという。
 そして将来的には、陸域から海域へとつながる水系について、様々な団体と連携して、かつての清流と豊かな珊瑚礁を取り戻す活動へ発展したいという。


FRP水槽

シャコガイ

コンクリート水槽