2001.11.14〜16

新潟県柏崎市 「議会運営について」(対面方式・夜間委員会)

富山県魚津市 「議会運営について」(インターネットによる議会中継)



議会運営委員会行政視察


【1】 新潟県 柏崎市議会


  
 笠岡から3回の乗り換えで7時間かかって到着した「新潟県・柏崎市」の街並みを宿泊した駅前のホテルから撮影した。雄大な日本海がはるかに見える。
 
 原子力発電所のある街で、財政的には潤っている。
 2つの4年制大学の開学、中心市街地の再開発、工業団地の造成等、様々な基盤整備がなされている。
 
 早朝、約1時間程、市内を散歩してみた。新旧が不思議に調和した街並みに心が癒された。



住所

〒945−8511 新潟県柏崎市中央町5番50号

電話

0257−23−5111  FAX 0257−24−7714

視察案件

議会運営(対面方式・夜間委員会)

期日

平成13年11月14日(水) 

応対者

高橋照男・議長  芝野信之・議会事務局長 桑原浩文・議会事務局主査

視察状況

別紙写真

訪問施設

柏崎市議会

概要


 新潟県柏崎市は、新潟県の中部に位置し日本海に面している。人口約8.7万人。面積は319.29ku。S15年7月に市制施行している
 原発建設を契機にして、地域整備・北陸自動車道の開通・工業団地造成・柏崎情報開発学院・ソフトパーク整備・2つの4年制大学の開学等、大きく飛躍している。また市役所南の旧商店街地区を再開発し、中心市街地の活性化事業も推進している。
 
 柏崎市は、原子力発電所のある街である。市民も議会に対しての深い関心を持っている。そうした事情も踏まえて柏崎市議会において、議会自らの新しい姿勢を示すべく調査・研究するための「議会の地位と権限に関する調査特別委員会」を平成10年6月に設置した。2回の研修会と11回の委員会を開催し、平成11年2月にその最終取りまとめを行った。その内容は4点の意見書を提出し、24項目の委員会合意事項としてまとめた。
 合意事項の主なものとして、委員長報告は原則委員長が作成する。子ども議会・夜間・日曜議会の開催。正副議長選挙における所信開陳。傍聴規則の見直し等が掲げられている。
 そしてその合意事項に係る実践状況の主なものとして、委員会の全文記録化。委員会審査の公開。決算審査の改正。議会傍聴規則の改正(傍聴者の録音・指針撮影をフリーにした。)本会議を庁舎内テレビ放映・FMコミュニティ放送での放送。議会だよりの音声版の発行。点訳広報の実施。また議場における一般質問の質問席を平成11年6月定例会から対面方式とした。

対面方式

 「議会の地位と権限に関する調査特別委員会」の取りまとめを受けて、平成11年6月定例会から一般質問の質問席を対面方式とした。
 従来は議長席の前の質問席から議員に向かって質問をして、執行部とは直接目線が会わない形だったわけだが、新たに議員席の一番前席の一番奥に「質問席」を設け、その「質問席」のすぐ隣に答弁を聞いている時間に座る席を設けた。これで執行部、特に市長の正面で目を合わせての質問が行えるようになった。
 この対面方式にかかった経費は、325,500円という事である。対面方式にして執行部と対面していることで以前に比べて違和感がなくなったという事である。デメリットとして同僚議員からのアドバイスを受けにくいという事である。

 笠岡市議会においても、笠岡市議会の改革の1つとして議会の「対面方式」を検討している。
 本会議において、議員が質問・質疑を行う場合、議員は登壇し、議員席に向かって発言するようになっている。このことから、平成11年5月に議員から議長宛に、「論点が市民にわかりやすいように、人間本来の会話方式で、相手の顔を見ながら質疑・討論を行うことが当然である。」として本会議の質疑方法についての改善要望が出された。これを受け、平成11年度に議会運営委員会等において視察・調査を行い、平成12年3月14日の議会運営委員会で、「対面方式の導入について、基本的には了承したが、財政事情が厳しく、好転するまでの間、継続して審議を行っていく。」と保留にしている。
 今回の議会運営委員会において、いろいろな課題を整理して今後の具体的な検討を行うことが必要という事で、再度、先進地の視察調査を行った。
 対面方式にした場合、執行部側に向かって質問することにより、会議に緊張感が生まれるし、質問・討論等が活性化されるはずである。
 しかし、議場の改装並びに時間制限の問題、一問一答方式の導入の検討が必要である。またCATVの導入により視聴者が聴いて分かる議会運営の検討も必要である。本年12月定例会から、一般質問の中に、個別質問と代表質問という区分けに変更となるが、今後の運営方法も再度考え直す必要もあるのではないか。
 対面方式の導入については、議員定数との兼ね合いが大きいことから、改選後の来期に導入することを前提に、平成16年度予算化を目指し、平成15年9月までに結論を出す予定である。笠岡市議会が、対面方式の導入になった場合、平成16年6月議会終了後、改装開始(工期3ヶ月とする。)を行い、平成16年9月議会より導入できるような形が考えられる。ただ今回の柏崎市議会の取り組みを見ると案外簡単に実施できるように思われるので、前倒しの検討も必要ではないだろうか。

夜間委員会

 柏崎議会は前任期に設置した「議会の地位と権限に関する調査特別委員会」で活性化方策を協議し、その中で市民が傍聴しやすい夜間委員会なども必要に応じて開催する方向が打ち出した。

そうした経過から、平成12年1月20日、夜、「柏崎駅等周辺整備特別委員会」が初めての夜間委員会を産文会館第2会議室において開催した。庁外で開かれたのは柏崎市では初めてで、会場には市内各地から予想を上回る62人が傍聴に訪れ、委員会の様子を熱心に見守る一方、活発な意見や要望も飛び出し、関心の高さを示した。

 「柏崎駅周辺等整備特別委員会」は「柏崎駅の位置付けと柏崎駅及び駅周辺はどうあるべきか」を共通問題として取り上げ、平成11年6月以来、市民生活とかかわりの深い課題を検討してきたことから、まず実践に踏み切った。
 この夜は、最初に6人の委員が1人1テーマを担当して、これまでに提案した内容をそれぞれ総括して意見を述べた。そして委員から「駅周辺の緑化」を再提案し、緑化の認識、駅周辺の緑化の現状、今後の方向性と当面の対応の点から「駅南北に植栽されている街路樹等の維持管理の充実」などを具体案に示した。
 これを受けて、他の委員が「街路樹の管理など明確な役割分担をしながら、デメリットを克服しつつ推進を、という考えはもっともである。」「植栽をどこの場所にするかが問題である。駅前の現状のレイアウトを検討する必要があるのではないか。」などを提案した。
 一方、傍聴の人たちから「緑化はいいことだが、駅前の周辺整備が第一の問題ではないか。」「駅前は30年、40年前と変わっていないが、どう考えているのか。」などの意見や要望が寄せられた。柏崎駅長は「周辺整備はJRの重要な課題である。広場を含めた駅全体のスペースとして検討してもらう方がベターだと思う。」とも述べた。
 この夜の委員会について委員長は「天候が悪かったにもかかわらず、予想以上に大勢の人から傍聴して戴いた。また、多岐にわたる意見や要望を戴き、これからの参考にしたい。駅通り商店街、駅南の地域の人たちとは今後も『出前委員会』のような形で話し合いを持っていきたい。」とした。

 市民にあまり関心のない事項とか、また開催時の天候等の影響もあって、その後の夜間委員会では傍聴者も減ってきているとの事である。夜間委員会の開催にもいろいろな工夫も必要であるとの事である。

添付資料

 視察資料  視察状況写真 名刺

 柏崎市議会の議事堂

 写真の右側が、対面方式の「質問席」
 その隣が、答弁の間、座っている白い椅子と机
 
 こうすれば、質問の際に執行部と対面できる。
 
 執行部の表情を見ながら質問ができる。



【2】 富山県 魚津市議会


 魚津市の約70億円という巨額な予算を投じた体育施設の展望室から、日本海を望む。
 富山湾の対岸がかすかに見える。その対岸の街並みが冬と春に「蜃気楼」として現れるという。「蜃気楼」という言葉の響きにロマンを感じてしまう。
 魚津市の市街地を撮影した。北アルプスの山々の新雪が厳しい冬を感じさせる。
 黒部の渓谷から、豊富な水か魚津市の富山湾に流れてくる。その富山湾は急速に深まっている。
 その魚津市は、井原市と姉妹縁組都市である。


住所

〒937−8555 富山県魚津市釈迦堂1丁目10番1号

電話

0765−23−1010  FAX 0765−23−1051

視察案件

市議会の運営(インターネットによる中継)

期日

平成13年11月15日(木) 

応対者

奥村利夫副議長 総務課・情報システム・鈴木主査

視察状況

別紙写真

訪問施設

魚津市議会

概要


 魚津市は富山県の東部に位置し、古くから漁業・商業の街として発展してきた。西は海の幸豊かな日本海に面し、東にはなだらかな山容の僧ヶ岳、万年雪を抱く毛勝山、名峰剣岳などの北アルプスが広がっている。また、自然が生む三大奇観、幻想的な「蜃気楼」と「ホタルイカ」、太古を今に物語る「埋没林」がある。ホタルイカの群遊海面と、埋没林はともに国の特別天然記念物に指定されている。
 魚津市は南東から北西に向かって細長く展開しており、市の南東部は最大標高2,414mに達する山岳地帯で立山連峰に連なっている。海岸線の延長は約8kmで、比較的平坦だが、海は急傾斜して、一大深層を作っている。昔から良港として船の出入りが多く、魚の種類も豊富で県下屈指の漁場として広く知られている。 面積:200.60ku・人口:47,590人(平成13年3月31日現在)

インターネットによる議会中継

 平成9年に職員の中で市役所の情報化に対する研究会を立ち上げた中で、郵政省の補助事業(電気通信格差是正事業補助金)があるということがわかり研究に取り組んだ。その結果11年3月議会より3つの公民館で議会を放映、同年9月よりインターネットによる議会中継を開始、同年12月議会よりCATVによる放送を開始した。現在魚津市情報ネットワークを構築するために取り組んでいる。

魚津市CATV施設整備事業

魚津市のCATVの整備は平成10年から開始して平成13年度が最終年度で、市内の約99%を網羅できるという(総予算・約20億)。しかし実際に接続しているのは、その約2割程度が画像のみで、インターネット接続はもっと低いという。笠岡市でもそうだが、インターネットの接続環境は大幅に進化している。CATV以外の民間業者がより早い接続速度と低価格で競合してきている。魚津市は工事費・負担金・接続料金が笠岡市よりも高額なため問題は深刻だと思う。

魚津市情報ネットワーク構想

1. テレビ電話を活用することにより、身近な公民館において、市民相談、税務相談および介護・福祉相談を直接本庁職員と行うことが出来るようにする。又、市政に関する各種相談、意見を担当課に電子メールで直接問い合わせることが出来るようにして、行政の迅速化を図る。
2. 市民情報提供システム最寄りの公民館等の公共施設およびインターネットから市役所各課の窓口情報、公共施設の予約状況、学校などの行事予定等の各種情報を入手可能とするとともに、市民からはサークルの紹介などの各種情報の提供が可能になるなど、市と市民との情報の共有化を図る。
3. 議会映像中継システム市民に開かれた議会を目指して、公共施設や家庭のパソコンからインターネットを介して市議会の映像をリアルタイムに市民に提供することが出来る。

 魚津市ではCATVが導入されており、これを通じて議会中継している。これはインターネットを流すためにつけられたカメラよりCATVへも流せるようになっている。問題点としてインターネットを流れるデーターが少しだけ時間がかかるため、議会が終了しても中継が終わらないこともある。録画の議会中継をパソコンで見ると、絵自体のスピードがまだぎこちない感じがするが、十分認識が出来、全国でも珍しいこの取り組みは評価できる。カメラワークから画面の切り替えまですべて今までの議会事務局の職員で対応が出来、新たな職員の配置は必要ない。カメラはあらかじめ質問する議員をセットしておくことが出来、ボタン一つで3つのカメラの撮影切り替えが出来る。24人の議員の中で4人から5人の方が反対したが、インターネット自体を把握している議員ではなかったため、事業が決まったという。
 魚津市の場合は、インターネット中継が先行して、あとでCATV放送が開始されている。つまりインターネット中継するためのカメラ・設備を魚津市が整備し、その操作は議会事務局員が行っている。それをそのままCATVに流しているのである。
 インターネット中継は、全世界に情報を発信できる。CATVは魚津市内だけである。全世界で魚津市議会の議会中継を見る方はほんの一握りだと思われるが、こうした取り組みは情報化の推進という事で大いに評価できると思う。

 魚津市の情報化施策の今後の課題として、広報の電子編集・図書館蔵書検索・市民に提供する情報の整備、蓄積、体制・電子決済・例規集の電子化・会議録の電子化・電子申請・市議会議員選挙の開票中継・蜃気楼のVTR・まつり等のVTRを掲げている。

魚津市情報ネットワーク事業・事業費

本事業は郵政省の電気通信格差是正事業補助金を活用している。

全体予算・合計      41,370千円
国庫補助金 12,514千円
起債 18,100千円
一般財源 10,756千円
内 訳
施設費
1)電源工事 3,411千円
2)庁内LAN 4,355千円
3)庁内LAN配線工事 4,359千円
設備費
1)情報提供(メイン)サーバー 6,775千円
2)パソコン21台 8,377千円
3)プリンター19台 1,926千円
4)ファイアウォールサーバー 2,602千円
5)インターネット議会中継サーバー         3,034千円
6)WWWサーバー 1,003千円
7)市民相談テレビ会議装置 1,702千円
以上補助対象額・合計 37,544千円
補助対象外(事務用ソフト) 3,826千円


★議会のインターネット中継に係る費用は、(5)と(6)で約400万円。




全国でインターネット議会中継をしている自治体は以下である。

岩手県

岩手県

宮城県

仙台市

秋田県

秋田県  矢島町

福島県

福島県

埼玉県

埼玉県

東京都

東京都

富山県

魚津市  入善町

石川県

石川県

愛知県

愛知県


添付資料

 視察資料  視察状況写真 名刺


 魚津市議会の議事堂の速記席

 全国的に現在は、速記の事務局員は座っていないケースが多い。
 その席に、議会事務局の職員がカメラ3台をリモコンで操作できるようにしている。
 その映像をそのままインターネットとCATVで流している。