第37回・岡山県市議会議員研修会


2005.08.18

岡山コンベンションセンター・1F イベントホール






 「分権時代の自治体経営とまちづくりの課題」という演題で、講師の牛山先生が準備されていたレジュメを下記に掲載しました。



第37回 岡山県市議会議員研修会
   「分権時代の自治体経営とまちづくりの課題」

           明治大学政治経済学部助教授   牛山 久仁彦 氏

1.社会の変化と分権改革
   中央政府の機能不全と諸改革
     (国際化・情報化・広域化)→(行政改革・規制緩和・政治改革・地方分権)
      中央政府の機能不全・分権化の要求と必要性・政権交代と政党再編
      財政構造改革・社会福祉基礎構造改革など改革が目白押し

2.地方分権改革で何が変わったか
   自治体の自由度は増したか・・・・・・国の関与の問題・自主財源の確保・条例制定権の拡大
   政務法令→法令の自主解釈・自治基本条例・「上乗せ・横出し」条例
   自治体はどう変わるか・・・自治ということの責任→自治体に地方分権を引き受ける覚悟があるのか
   住民生活はどうなるか・・・・自治体のあり方で格差が生まれる

  自治体行政の変化
   ・地方公共団体の事務に関する国の立法の原則
   ・機関委任事務の廃止と事務の振り分けによる条例制定権の拡大
   ・それに伴う自治体職員の政策的・法的対応の拡大

  分権改革の本質→政府=行政から市民への分権の必要性
   ・分権時代にふさわしい市民の参加と実践を実現する必要
   ・行政は政策形成能力の拡大と市民への問いかけが必要
   ☆そして、政治的決定の場は自治体議会

3.首長、自治体議会の自治体選挙
  「地方自治には政治は必要ない」?・・・・・集権的システムの下では自己決定システムは機能しない?

  政党対立のない「相乗り」が自治体首長には「向いている」という主張
  → 革新自治体むの退潮傾向、全国自治体で首長選挙へのオール与党「相乗り」が一般化
                            ↓
  ・有権者の選択肢を奪い、む投票率の低下に拍車
  ・自治体の自己決定を「否定」

  ■地方分権は、自治体の自己決定を強調・・・・・・決定権は「自治体」に
  → 具体的には、首長・議会(場合によっては住民投票など直接参加)

  有権者の「相乗り」批判 → 無党派候補の善戦
  → 候補者次第では当選へ(田中康夫長野県知事誕生の衝撃)

 ◎急増する無党派首長 → 有権者も候補者も政党離れ
  ・首長と議会多数派のねじれ
  ・無党派首長の有権者を意識した過剰なパフォーマンス
  ・首長の政党離れで、議会の地位低下

4.自治体行政の変化と参加・協働型まちづくり
   自治体間競争の時代と「地方自治改革」 → 地域住民の信頼に応える自治体づくり
   → 自治体の重要な役割は住民本位の政策の執行
   → どのような行政が住民本位といえるか
       ・政策の優先順位
       ・限られた財源の効率的な支出
       ・多様なニーズへの対応

  参加を要する行政の施策の範囲は今後拡大 (財政危機・分権改革
  → 社会福祉施策・まちづくり・環境・教育・施設建設・設置など
     (背景) Tax Player としての意識の拡大
          市民活動などセミ・プロ市民の増加

  ■住民に身近な施策、施設ほど参加を基本に政策が実施されることが望ましい
    他の分野でも市民・住民のニーズに応えるための努力が不可欠

  ☆問われる行政と市民の協働
    政策の実施、あり方についての評価
    → 市民が参加して作った政策だからといって成功とは限らない
    → その意義、結果について客観的に評価される必要

  ◎政策評価のありかたについての検討も必要
    ex)NPOと行政による協働事業への評価作業 (評価みえ)
    → 政策評価NPOの発足

5.自治体議会むとまちづくりの今後
   市民・住民参加は「議会軽視」か? ・・・議会関与の拡大、市民の意見を代表する意味
   ◎議会が政策形成に関与する必要性は増大・・首長の権限との関係、市民・住民参加との関係

   ☆議会に求められる首長、住民との緊張感あるパートナーシップ
     直接民主制と間接民主制という「古くて新しい」課題
     地方分権時代に役割増す自治体議会 議会とローカルマニフェスト