「行財政改革について」
「起業家支援等を目的とした空店舗活用」

2005.07.06

岐阜県高山市

誠信クラブ・個人視察





岐阜県高山市

 高山市は、岐阜県の北部で飛騨地方の中央の高山盆地に位置し、周囲は山に囲まれ、全国でもまれな江戸時代の町人文化を残した伝統的な文化都市である。
 平成17年2月に2町7村と編入合併し人口は約67,000人から約97,000人となった。面積は、2,177.67kuという事で日本一の広い市である。
 合併により議員総数が124名になるところ、旧高山市議会議員24名と周辺町村で12名の議員を選出し6年間の在任特例期間中は36名の議員としている。
(法定数30名・条例定数24名・合併特例法による定数特例36名・現議員の任期は平成19年4月30日まで)


高山市役所

高山市議会事務局


行財政改革

 平成の大合併について、日本経済新聞社と日経産業消費研究所が2004年4月1日から2005年4月1日に発足した全国187市の合併効果を比較した結果、高山市が行財政改革の進展でトップになったと報じた。
 その記事を拝見して、高山市の行財政改革の先進事例を学びたいという事が今回の視察のメインに位置づけた。
 高山市では職員の削減が31.5%、議員の削減が80.6%で、2位の宮城県登米市の職員11.0%、議員80.5%を大きく差をつけてのトップである。


高山市行政改革大綱


 高山市においては行政改革が不断の課題として位置づけ、昭和60年度に「高山市行政改革大綱」を策定、以来2度の大綱見直しを行い、行政全般にわたって行政改革を実施してきた。
 平成12年度に策定した第3次行政改革大綱では、市民の立場に立った行政サービスの推進や簡素で効率的な行政の運営、地方分権時代に対応した行政体制の整備を目指し、グループ制導入による組織の見直し、施設管理等の委託化、窓口業務の延長開設、証明書自動交付機の整備を行ったほか、平成16年度までの5ヶ年で690名から577名と113名の職員を削減、行政改革全体で50億9300万円の経費削減を行った。
 平成17年2月1日の合併により、合併はそれ自体が大きな行政改革であり、議員や特別職職員、一般職員の減少により10億円を超える人件費が削減された。しかし合併時職員数は1269名と合併前の2倍以上に増加し、起債残高も平成16年度末で1156億円になるなど今後取り組まなければならない課題も多い。
 合併は行政改革のスタートであると認識し、「やさしさと活力にあふれるまち」を目指した新しい高山市をつくるために、新たな「高山市行政改革大綱(第4次)」を平成17年6月に策定した。平成21年度までの5年間で1269名の職員を850名の適正職員数にすると実施計画に明記している。



吹き抜けのある高山市役所


オープンなイメージの市役所内部

 
起業家支援等を目的とした空店舗活用
(ドリーミン
)

 全国的に問題になっている商店街の空店舗を利用して、起業家に低料金の店舗スペースを提供する事により、起業家を育成するとともに、まちなかの賑わいを創出しようという事業で、平成12年度から実施している。

@意欲がある起業家に、市内の空店舗を改装活用したスペースを、出店者負担は賃借料ゼロ、維持管理費は坪当たり月額4000円という低価格で提供している。

A出店者に出店に要する改修費や賃借料に対して、市及び県が全面的に支援。

B企画に際しては、建築家・デザイナー・主婦など様々な職業で構成するプロジェクトチームを結成し、高山市・市商連・商工会議所・市民チームが一体となって事業を実施する。

 平成12・13年度で2店舗に8人の起業家が入居した。最大延長は3年のため、独立に向けての店舗交渉が必用となる。


 


空店舗活用


空店舗活用 まちひとプラザ1階


空店舗利用 「まちひとプラザ」

 今回、空店舗を「かんかこかん」というまちひとプラザを現地視察させて戴いた。 
 1階が「こどもひろば」で、親と子、子育て中の親子同士、あかちゃんからお年寄りまでが立ち寄れる遊びと交流の場である。そして有料で一時保育、ベビーカーの貸し出し等も行っている。また1階の一部スペースは「情報ひろば」としてインターネット、行政情報・暮らしの情報・観光情報も提供している。また2階は「まちづくりひろば」として、まちひとづくりの活動拠点、ミーティングや集会のできる和室として利用している。


空店舗利用 「まちひとプラザ」2階和室

横丁整備


横丁整備


 市街地に点在する路地・通路を住民と一体となって整備し、昔ながらの往来と横丁文化の復活や出会いの場を創造しようとする事業で平成14年度から実施している。
 日常生活の充実向上と市街地に活性化が期待できるが、市街地の高齢化や空洞化に伴って、横丁整備に対して民家側の街並み保存や冬季の除雪などで、地域住民の協力が課題となっている。
 観光の街づくりを推進している高山市としては、こうしたちょっとした配慮が観光客のリピートにつながっていると思われる。


タウンモビリティ

 長距離の歩行が困難なお年寄りなどに、電動スクーターの貸出しサービスを行なう事業で平成14年度から実施している。
 中心市街地を自力での移動が困難な方が街の中を自由に楽しむことを目的として、走行運転可能な方には誰でも無料で貸出ししている。現在3台所有しており午前9時から午後5時まで利用できる。
 この事業によりバリアフリーの推進、人に優しい街づくりを目指している。


バリアフリー観光情報端末装置

 障害のある方、高齢者に対しても、安全・安心・快適に観光できるようにバリアフリーの街づくりを推進している事業である。
 平成13年度から実施しており、視覚障がい者には音声による案内、弱視者には文字サイズ・色彩・コントラストを工夫した活字で表示、聴覚障がい者には手話アニメーション画面の案内をしている。
 また車椅子利用でも近づいて操作しやすい手すりを設置し、簡単にタッチパネル画面を操作できるようにしている。
 現在、観光情報・観光施設概要・位置情報・食文化の案内・イベント情報・トイレ案内・飛騨地方の周辺市町村の観光案内等を提供している。

 
 バリアフリーの街づくり

 現在3期目の高山市長は総務省出身、また助役も総務省出身という。市長はとにかくバリアフリーの街づくりに対して積極的な取り組みを行っている。たとえば側溝のグレーチングも隙間の小さいものに切り替えているという。街中を歩いていて本当に普段気づかない箇所にまで配慮されていた。


高山市議会議場