「種子島宇宙センター」
「離島振興」
「南種子島町宇宙留学制度」

2005.02.03

鹿児島県南種子島町

誠信クラブ行政視察


「離島振興」
「屋久島ゼロミッションプロジェクト」
「世界自然遺産」

2005.02.04

鹿児島県屋久町

誠信クラブ行政視察




種子島宇宙センター


種子島宇宙センター・大崎射場

H−Uロケット実物大模型

種子島宇宙センター

 我が国唯一の実用衛星を打ち上げる種子島宇宙センターは、南種子島町の南東に景勝地にあり、「世界で最も美しい宇宙基地」と言われている。
 種子島宇宙センターは、昭和44年に旧宇宙開発事業団の発足とともに設立され、総面積は約860万uにもおよぶ日本最大の宇宙開発施設である。
 ここでは、ロケットの組み立てから打ち上げ、衛星の最終チェック、ロケットへの搭載までを行っている施設で、小型ロケット打ち上げを中心とする「竹崎射場」、21世紀の日本の主力ロケットであるH-IIAロケット打ち上げを中心とする「大崎射場」がある。
 そしてその北方には「増田宇宙通信所」「野木レーダ局」、西方に「宇宙ヶ丘レーダステーション」「光学観測所」などの試験設備が整備されている。
 また、液体ロケットエンジンおよび固体ロケットの地上燃焼試験等を行う開発関連設備も備えている。
 こうした施設・設備を使って、人工衛星打ち上げまでの一連の作業、打ち上げの秒読み作業、発射後の追尾等の作業などを行い、実用衛星打ち上げの中心的役割を果たしている。
 また敷地内には、宇宙科学技術館や打ち上げ体験館などもある。


平成16年は1機も打ち上げできず


 平成15年に起きたH−UAロケット6号機の失敗の影響で平成16年度は、1機も打ち上げることができなかった。
 早期に打ち上げを再開すべく、失敗の原因究明と再発防止に精力的に取り組んでいる。
 そして万全を期して、この2月末には打ち上げ予定という事である。
 今後は、H−UAロケットの打ち上げが民営化され、国内外の人工衛星の商業的な打ち上げが期待されている。


竹崎展望台
打ち上げ時に報道関係者が集まる施設

種子島宇宙化学技術館

宇宙化学技術館内部



離島振興


南種子町役場

鹿児島県南種子町


 南種子島町は鹿児島市から南へ153kmの種子島の南端に位置している。
 種子島は北から西之表市・中種子島町、南種子島町という3つの自治体があり、南北57.5km、東西が5〜12kmと南北に細長い。
 今回視察に訪れた南種子島町は種子島宇宙センターのある町で、面積は約110ku・人口は約7,000人である。
 南種子島町の最南端の門倉岬は、1543年にポルトガル人が乗った船が漂着し、我が国に初めて鉄砲が伝来した所である。
 平成18年3月には新種子島空港が開港し、ジェット機の直接乗り入れが可能となる。


 南種子町の特性


1.我が国唯一の実用衛星を打ち上げる種子島宇宙センター
2.日本史を揺るがした鉄砲伝来
3.日本最古の文学
4.我が国への稲作渡来初期の地
5.日本一早いコシヒカリ・新茶の産地

 以上の特徴を生かして、「宇宙のまちづくり」を積極的に取り組んでいる。
 行政として「ロケットマラソン」「ロケット祭り」「スペースキャンプ」「アイランドフェア」「鉄砲サミット(平成15年度)」「全国サーフィン大会(平成18年度)」「特産品展示販売」などのイベントを通して全国への情報発信を行なっている。。


鉄砲伝来の地・門倉岬

竹崎のサーフィンポイント

熊野海岸



南種子町宇宙留学制度


南種子町議会事務局・会議室

南種子町宇宙留学制度

 南種子町では、親元を離れて、日本で一番宇宙に近い島種子島で生活し、南種子町内の小学校へ通う「南種子町宇宙留学制度」を平成8年度からスタートしている。
 日本で唯一の実用衛星発射基地種子島宇宙センターの宇宙開発体験、種子島の大自然の中での自然体験等の豊かな自然環境と人情豊かな社会環境の中でたくましい心を育てる事を目的としている。
 期間は原則として1年間で、小学2年〜6年生まででが募集対象者である。
 期間中は里親として登録されている普通の家庭で預かり、小学4年生以上は宇宙科学少年団に入団し、宇宙に関する知識などを学ぶ。
 また種子島での海水浴や、世界遺産の屋久島での研修旅行も行なう。
 食費等の経費(里親への委託費)は、月額6万円のうち保護者が3万円、町助成金が3万円とし、その他の経費は保護者の負担としている。


 募集人員は30名であるが、全国から毎年80件近い応募があり、基本的には先着順であるが、受入れ校の学年別・男女別などの学級編成を考慮して決定している。
 南種子町は小学校8校のうち6校で受入れを行っている。
 募集は全国の都道府県の教育委員会へポスター・募集要項等を送付し、全国各地の新聞に募集要項を掲載している。
 子供達は、「宇宙留学」で、人類の宇宙への具体的な取り組みと豊かな大自然を体感し、かつ親元から離れることで自立心を養うことなどができるほか、子供達を預かる里親とのコミュニケーションが図られ、豊かな人間性を育んでいる。
 また南種子町としても、地域の活性化に役立つと共に、異なった環境で育った子供達がやってくることで、教育の相乗効果も大きいという。


 この事業は、南種子町教育委員会が南種子町宇宙留学連絡協議会を設置して運営している。
 連絡協議会での統一した事業として、合同歓迎会・宇宙センター見学・海亀産卵見学・屋久島旅行・定置網漁体験・タンカン狩り・里親研修会・合同終了式等がある。
 一方、各小学校においても、それぞれ様々な事業を行っている。
 契約事項として、校区内に住民登録、健康保険証の持参・宇宙留学実行委員会立会いの上で里親との契約締結、日常生活に必要なもの(寝具類)は里親と相談し必要に応じて持参、電話は曜日を決めて里親からコレクトコールでかけることを基本とし児童は携帯電話・パソコンを所持しない事としている。
 長期間の休みについては児童とその実親の希望により帰省することができるものとし、実家までの往復は実親もしくは実親の委任を受けたものが引率して行うものとしている。



離島振興


屋久町役場

屋久島

 屋久島は、鹿児島市の南方130km、種子島の南西約30kmに位置し、面積約504.8ku、周囲132kmの日本で5番目に大きい島である。
 屋久島の中央部に、九州最高峰の宮之浦岳(1,935m)をはじめとする高峰がそびえ世界的な動植物の移行帯に位置する温潤気候下の高山として生物地理的に特異な環境下にある。
 また年間4,000mm〜10,000mmもの多雨に恵まれていること等から、樹齢数千年のヤクスギをはじめとして、極めて特殊な森林植生を有している。
 海岸付近のガジュマル、アコウ等の亜熱帯植物から、タブ、シイ、カシ等の暖帯、モミ、ヤマグルマ等の温帯、さらにヤマザサ、シャクナゲ等の亜高山帯に及ぶ植物の垂直分布が顕著にみられ、また多くの固有植物、北限・南限植物が自生していること等特異な生態系を構成しており「東洋のガラパゴス」とも呼ばれている。


鹿児島県屋久町

 屋久町は、屋久島の南半分を占め、、面積は約242ku、人口は約6800人でその約87%が山林である。
 昭和35年には10,641人の人口があったが、減少を続け、平成7年には6,662人まで減ったが、その後わずかながら増加に転じている。
 少子高齢化が進み、高齢化の進行が著しい。
 平成5年12月、日本で始めて世界自然遺産に登録され、その後アニメ映画「もののけ姫」等の関係で、観光客が増えている。
 観光客の増により、宿泊施設・バス・レンタカー等の観光産業が伸びている。
 屋久町では環境問題に関しては、「環境基本条例」「屋久町水と緑のふるさと環境条例」を制定して「自然と共生」という基本理念に基づいた様々な取り組みを行っている。
 
 

屋久町議会・会議室

ヤクスギランド休憩室「森泉」

ヤクスギランドの休憩室「森泉」

 ヤクスギランドは、屋久杉や多くの天然林を含む屋久島の代表的な森林景観を有する標高1,000mのところに約270haの鑑賞林を林野庁が設定したもので屋久島観光の拠点である。 
 そのヤクスギランドの休憩施設「森泉」は、屋久町が平成3年に新設したものだが、クリーンエネルギーに配慮して太陽光発電システムを備えている。
 このシステムには、雨天が続いて太陽光発電パネルからの電池がなくても2週間程度は停電しないように蓄電池を備えている。
 

屋久町立・屋久杉自然館

屋久町立・屋久杉自然館内部



屋久島ゼロミッションプロジェクト


屋久島ゼロミッションプロジェクト


 屋久町と鹿児島大学、民間の栗田工業が共同して、廃棄物の出ない循環型社会を構築しようと実証実験プロジェクトを行なっている。
 当日は佐賀県関係者の視察に我々誠信クラブが便乗した現地視察となった。
 
 屋久町役場から約1kmのなだらかな丘陵に全国唯一の乾式メタン発酵のプラントがある。
 屋久島で発生する有機性廃棄物の生ゴミ、家畜のふん尿、ダンボールを投入し、蒸気で加熱し約1ヶ月間タンクで発酵させて、メタンガスを取り出す。
 そして取り出したメタンガスを燃料にして発電し、プラントの運転に必要なエネルギーにしている。
 またメタンガスを採取した後の残留物は、再度メタンガスで燃焼して炭化して、農業用の土壌改良剤として利用している。


ゼロミッションプラント

乾式メタン発酵プラントの流れ

特徴

このプラントはほとんどダイオキシンの心配がなく、焼却灰などの廃棄物はゼロであるが、ビニールやプラスチック類などの処理はできない。
 
 乾式発酵は、排水が出ないため、排水処理施設が必要ないのが最大の特徴である。

 現在は、1日の処理量が650kgと小さい実証プラントのため外部電力と重油を使って運転しているが、人口3万から5万程度、日量30ton程度の処理規模にすれば、外部エネルギー不要のプラントが、ほぼゼロエミッションで可能という。

 笠岡湾干拓地のように大量の家畜のふん尿を処理ができるのかどうかは、今後の実験データから判断しなければならないと感じた。


ゼロミッションプラントの事務所で概要説明

ゼロミッションプラントの内部

ゼロミッションプラント・バイオガス貯留槽

廃食用油代替化装置


 屋久島町ではこうした実験プラントとは別に様々な環境行政を推進している。
 その1つとして、水辺環境や海洋環境の保全を目的に、廃食用油代替化装置を導入している。
 平成12年3月からは、環境庁・地球温暖化防止実験地域に指定され、廃食用油の代替化が地球温暖化防止にどの程度の効力があるかを実験している。
 収集開始から平成16年3月末までの実績は、収集量で69,667リットル、生成量は67,540リットル、給油量で66,667.8リットルである。
 現在公用車20台が、この生成廃油を利用している。この廃油利用により、黒煙が1/2から1/3に削減されている。そして酸性雨の原因の1つである硫黄酸化物の発生がなくなるという。




世界自然遺産



世界遺産

 世界遺産とは、1972年、第17回ユネスコ総会で採択された「世界文化遺産・自然遺産保護条約」によって指定された「文化遺産」、「自然遺産」及び両方の要素を兼ね備えた「複合遺産」のことをいい、顕著で普遍的な価値を有する遺跡や自然地域などを人類全体のための世界の遺産として保護、保存し、国際的な協力及び援助の体制を確立する事を目的としている。
 日本国内には、屋久島と白神産地が平成5年12月に世界自然遺産として登録された。
 世界文化遺産は、姫路城(平成5年12月)・法隆寺地域の仏教建造物(平成5年12月)・古都京都の文化財(平成6年12月)・白川郷・五箇山の合掌造り集落(平成7年12月)・原爆ドーム(平成8年12月)・厳島神社(平成8年12月)・古都奈良の文化財(平成10年12月)・日光の社寺(平成11年12月)・琉球王国のグスク及び関連遺産群(平成12年12月)・紀伊山地の霊場と参詣道(平成16年7月)の10箇所が登録されている。
 
世界自然遺産の中は、
基本的に人間が入る事ができない
ゾーンとなっている。
以下の写真を撮影した場所は、
世界自然遺産の指定区域外である。


ヤクスギランド内の「千年杉」

ヤクスギランド内

世界自然遺産・屋久島

 屋久島の総面積の約21%にあたる107.47kuが、世界的に特異な樹齢数千年のヤクスギをはじめ、多くの固有種や絶滅のおそれのある動植物などを含む生物相を有するとともに、海岸部から亜高山帯に及ぶ植生の典型的な垂直分布がみられるなど、特異な生態系とすぐれた自然景観を有している地域でとして平成5年12月に世界自然遺産に登録された。
 日本での杉の南限が屋久島である。一般に樹齢が300年程度と言われている杉が、2000年とか3000年もの長寿の杉になるのは、年間雨量が4000mmから1万mmという屋久島の特殊な自然環境と、屋久杉の樹脂の特性が起因している。 
 通称、樹齢1000年以上の杉だけを屋久杉と言い、1000年以下を小杉、植林の杉を地杉と区別している。その屋久杉は、標高にして600m以上から1300mくらいの所に多く自生し、1200m前後に巨大杉が多く見られるという。


モッチョム岳

大川の滝

タイドプール

白谷雲水峡