家畜糞尿等再利用設備
「八木バイオエコロジーセンター」

2003.11.18

京都府船井郡八木町矢掛町

誠信クラブ行政視察



風力発電
「石川県碁石ケ峰風力発電所」

2003.11.19

石川県鹿島郡鹿島町

誠信クラブ行政視察




八木バイオエコロジーセンター


JRと国道を結ぶ・病院の連絡通路
前町長の豪快な手腕で実現

京都府船井郡八木町

 八木町は京都市から北西へ約30kmである。
 京都市・亀岡市・園部町・日吉町・京北町と接した町で、基幹産業は農業。
 地理的条件を生かした都市近郊野菜やハウス栽培等の農作物のブランド化を推進している。
 また畜産業では、酪農が盛んで、南丹酪農農業協同組合から「南丹牛乳」として販売されている。
 この農業も兼業化が進み、現在では9割近くが2種兼業農家で、京阪神方面の通勤者が多い。
 総面積は約46.56ku・人口は約9000人である。
 環境に優しい街づくりを積極的に推進している。

笠岡湾干拓地の悪臭・水質汚濁問題

 笠岡湾干拓地における悪臭問題は深刻である。
 鶏ふん堆肥の散布時に臭いが発生したものと推定されているが、畜産農家からの悪臭も当然考えられる。
 こうした環境保全に対して、平成11年7月に、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が公布され、家畜等の「ふん尿」等に対する管理施設が義務づけられた。
 この法律により、平成16年11月以降は「ふん尿」等の野積みができなくなり、管理施設において「ふん尿」を自己完結処理するようになる。
 そうすれば干拓地内の水質もある程度改善されると思われる。
 ただ「ふん尿」を自己完結処理すると言っても「臭い」を完全に封じ込めるのは大変困難である。
 全国の先進事例を調査しながら、悪臭問題に対して最も有効な手法を学びたいという事で、八木バイオエコロジーセンターをこの度視察する事にした。

 

八木バイオエコロジーセンター全景
連日、多くの視察者が訪れる。
視察当日も海外からの視察を含めて4件という
視察者が多いため、説明資料代として
1人、1000円を徴収している。

乳牛の糞尿投入口
さすがに投入口周辺の臭いは、すさまじい

八木バイオエコロジーセンター
 
 八木町は畜産業が盛んで、乳牛・肉牛約1150頭、そして豚約1500頭を飼育している。
 これらのふん尿は、野積みによるハエ・悪臭の発生及び河川汚濁の問題が浮上してくる。
 そうした畜産環境問題の解決のため、八木バイオエコロジーセンターを平成10年に建設した。

 堆肥製造のみの施設はいろいろあるが、八木町の場合、ふん尿から発生するバイオガス(主成分メタン)が未利用エネルギーであることに着目し、バイオガスで発電してセンター内の電気を賄うと同時に、排熱を回収して発酵槽の加温等に使用しエネルギーの有効利用を図っている。また、発酵残さで脱水ケーキを作り、良質の堆きゅう肥として農地へ還元し、資源の有効利用を推進している。


特徴

 八木バイオエコロジーセンターでは、メタン発酵で発生した消化ガスを使って、発電し、その電気と排熱の両方を使用している。
 発電容量は、2台の発電機で合計140kW、そして80KWを1台増設した。発電した電気は、八木バイオエコロジーセンターで使用している。
 また回収した排熱は、発酵槽の加温や管理室の給湯・暖房に使用し、エネルギーの有効利用を図っている。
 八木バイオエコロジーセンターのメタン発酵槽は、無動力攪拌方式のBIMA消化槽を採用している。
 これらの設備の採用で、環境にやさしい施設であると同時に、省エネルギー化と運転経費の低減を図ることができる。



BIMA消化層

ガスエンジン式発電機・70KW×2


ガスエンジン式発電機・80KW×2


発酵棟
ロータリー式攪拌機

メタン施設

 メタン発酵は嫌気発酵の事で、空気を供給しない状態で微生物によって有機物を分解させる。
 こうしたメタン発酵により、家畜の糞尿等の有機性廃棄物を処理して有機性肥料を生産する。
 同時に処理の過程で得られるメタンガスを利用してコージェネレーションを行なって、エネルギーを有効利用している。
 
 各畜産農家からバキュームカーで乳牛と豚のふん尿を収集し、また食品工場から発生する「おから」を搬入する。
 これを受入槽に投入し、沈砂槽で粗大物の沈降除去を行い、さらに破砕機で「わら」等を破砕し、ふん尿と共に原水槽で一時貯留する。
 これをBIMA消化槽へ投入し、BIMA消化槽では水温を35度前後に保ち、約30日間滞留させて、嫌気処理を行なう。
 処理の過程で、メタンを65%程度含む「消化ガス」が発生する。
 この「消化ガス」はガスホルダーに貯留し、脱硫塔で硫化水素を除去した後、プロワで「消化ガス」をガスエンジンに送り、ガスエンジンで発電機を回転させる。
 また燃焼ガスとエンジン冷却水の排熱は、熱交換器を介して温水として回収しBIMA消化槽の保温と管理室の暖房に利用している。
 処理が終了したふん尿等は消化汚泥として排出される。
 これを脱水して固形分の「脱水ケーキ」と液分の「脱利液」に分離し、「脱水ケーキ」は肉牛ふん尿と共に堆肥化施設で処理される。




堆肥化施設

 堆肥化は、先にメタン施設から排出された「脱水ケーキ」と肉牛のふん尿をロータリー式発酵装置(2台×2槽)に入れて、1日1回ロータリーの回転で攪拌する工程を25日間行なって一次発酵を行なう。
 次に一次発酵した堆肥は堆肥舎(5槽×2棟)にタイヤショベルで移動して65日間の堆積により二次発酵させ、製品庫で袋やフレコン詰めを行いマニアプレッダーで農地に還元している。
 こうして見事に糞尿のリサイクルを行っている。
 乳牛は1頭・15000円、肉牛は1頭・7500円、豚は1頭・1665円の年額負担金を徴収している。


堆肥舎
二次発酵

約20kgの堆肥

1袋・170円という安い堆肥
臭いは全くない

液肥
20リットルで容器込みで1250円
中身だけだと20リットルで、わずか20円

八木農村環境公園 「氷室の郷」
環境重視の様々な施設がある

八木町・農業振興課・塩田課長の説明
八木町農業公社・石田副理事長の説明



石川県碁石ケ峰風力発電所


石川県鹿島郡鹿島町


 鹿島町は能登半島の中央部に位置している。
 織物業と農業が町の2大産業である。特に織物業は工業粗生産額全体の約60%を占めるが、近年の繊維不況により町の経済全体にも大きな影響を与えている。
 農業も国内外の産地間競争が進む中、農業従事者の高齢化が著しく、後継者の育成が急がれる状況である。
 そうした中、町では2大産業の再建に向けた諸施策を展開する一方で安定した産業構造への移行を目指し、工業団地造成による先端産業の企業誘致や、観光資源の活用を積極的に進めている。
 面積は約48kuで人口は約9000人である。


自然エネルギー


 昨今、自然エネルギーに対しての関心が高くなっている。
 我家も昨年太陽光発電装置を稼動させたが、太陽の光で発電するという自然の恵みの大切さを改めて感じているところである。
 太陽光発電と共に、最近風力発電も全国的に注目されている。
 風力発電の場合、「風」が良く吹かなければならないという制約があるが、今後もっともっと普及してくると予想されている。
 最近では家庭用の風力発電装置も開発されて販売される時代になっている。
 次は風力発電と密かな思いを抱いている。
 このように以前から一度風力発電装置の視察を行ないたいという気持ちを持ち続けたわけであるが、この度やっと実現できた事に感謝したい。

 

風速3m〜25mまで、発電可能
12m〜13mで、フル運転
2億4700万円の事業費

碁石ケ峰

 碁石ケ峰は、標高461mで石川県立公園に指定されている。
 山頂付近からは中能登一体と日本海が眺望できる。
 近くに宿泊研修施設の県立鹿島少年自然の家やキャンプ場が整備されている。
 風をとらえてゆっくりと回る風力発電所は自然の景観と融合している。


 「つかまえて風
     追いかけて夢
        21世紀のエネルギー
            風力発電」


石川県碁石ケ峰風力発電所


 平成11年8月に鹿島郡鹿島町の碁石ヶ峰に「石川県碁石ヶ峰風力発電所」が竣工した。  
 この風力発電所は、石川県と新エネルギー・産業技術総合開発機構が共同で、風力発電の実用化に向けた実証施設として建設したものである。
 発生した電力は、近くの「石川県立鹿島少年自然の家」で使用し、余った電力は北陸電力鰍ヨ売電している。  
 自然の家には、発電所における風向、風速及び発電量をリアルタイムで表示する学習表示盤を設置し、環境・省エネルギー教育に役立てている。  
 この発電所は、電話回線を利用して小松市にある石川県発電管理事務所で管理しており、異常があったときは、ファックス及び電話で自動的に通報されるようになっている。


石川県企業局・電気水道課・田中次長から
現地で説明を受ける


後ろが、送電用電柱
夜はライトアップする


自然の家にある発電表示パネル

石川県碁石ケ峰風力発電所の能



風車形式

 

水平軸プロペラ式
可変翼型風車
羽根直径

42.0 m
タワー高さ

38.0 m
羽根材質

 
ガラス繊維
強化プラスチック
運転風速
 カットイン
 定 格
 カットアウト


 3.0 m/s
14.0 m/s
24.0 m/s
ロータ回転数

24 rpm
定格出力

600 kW
羽根制御
ピッチ制御
年間可能
発生電力量


 

870MWh