シンガポール・マレーシア
行政視察報告書



シンガポール

シンガポールのIT
URAギャラリー
ウッドランドシビックセンター

マレーシア・クアラルンプール
熱帯雨林の保存と森林資源の有効活用
高原都市・行政都市・未来都市

マレーシア・コタバル市
アジアへ進出した日本企業の取り組み
握手都市コタバル市・表敬訪問

H13.08.19〜08.24 誠信クラブ




 @ 財団法人 自治体国際化協会   
               CLAIRシンガポール事務所

 

 8月20日(月)
 10:00〜10:45 シンガポールの概要説明
 10:45〜12:00 シンガポールのIT現状について

 財団法人自治体国際化協会(Council of Local Authorities for International
Relations: CLAIR)は、地域における国際化の気運の高まりを受け、こうした動きを支援し、一層推進するための地方公共団体の共同組織として昭和63年7月に設立された。
 CLAIRは、東京に本部を、都道府県・政令指定都市に支部を置き、国内ネットワークを整備するとともに、世界の主要都市に海外事務所を設置することとしており、ニューヨーク、ロンドン(平成元年)、パリ、シンガポール(2年)、ソウル(5年)及び、シドニー(6年)北京(9年)に海外事務所を設置するなど、海外ネットワークの充実に努めている。
 そして、こうした国内外のネットワークを活用して、地方公共団体の海外における活動を支援し、地域の国際化、外国における地域振興対策等についての情報の収集・提供や調査研究を行う一方、対日理解促進を積極的に図るため、わが国の政治、経済文化等の諸事情や地方公共団体の事情を海外に紹介している。
 また、語学指導等を行う外国人青年招致事業(JETプログラム)の推進 、地域の国際化の担い手となる人材の育成、地域国際化協会への支援などの業務を行っている。
 さらに、平成7年度より自治体国際協力センター (Local Authorities Center
for International Cooperation:LACIC)を協会内に設置し、地方公共団体の姉妹交流をはじめとする国際交流や国際協力活動の支援に努めている。
 今回、笠岡市の「まちづくり推進課」から岡山県を通じて、CLAIRに対して行政視察の支援をお願いした。
 CLAIRのシンガポール事務所を尋ねてシンガポールの概要説明とビデオ等によるIT関係の説明を最初にして戴いた。


 
 今回、CLAIRシンガポール事務所で対応戴いた方々。左から、緒方孝昭次長。平谷英明所長。中島美園所長補佐(滋賀県彦根市から出向)。菊川和宏所長補佐(山形県から出向)。
 職員14名のうち2名が現地採用で、所長は総務省からの出向であとは県・市の地方公共団体から出向している。
 1年の東京での研修の後、2年間の現地勤務という3年サイクルという事である。

 シンガポール政府は、1992年発表のIT(情報技術)マスタープラン「IT2000」に基づいて、2000年までにシンガポールをインテリジェント・アイランド化するとともに、アジア太平洋地域のビジネス、サービス、運輸・通信のハブ化とすることによって経済発展を目指してきた。これに続いて、2010年までにシンガポールを活力あふれる世界の情報通信技術の中心地にすることを目的とするマスタープラン「ICT21」を策定しており。2001年までに大部分の行政サービスをオンライン化、2002年までに教育カリキュラムの30%にIT導入、2003年までに商取引きの半分を電子化など、具体的なシナリオを描いている。


CLAIRシンガポール事務所から望む街並み。
シンガポールでも一等地のビルの中にある。

 
 シンガポールは紛れもなく、ITの先進国である。日本に比べて国土が小規模であることが、インフラ整備などの面で巧を奏している。
 世界での生き残りをかけ早い時期からIT政策を展開してきた政府の先見性や、使い手の国民に対するきめ細かいサービスの努力である。
 シンガポールの教育は徹底した能力主義である。小学校から各段階ごとに試験がある。つまり優秀な人材を更に伸ばしていこうという考え方だと思われる。そして社会にでると常に優秀な人材が高い所得を得ることが出来る。
 たとえ運転手であろうが。ITを理解していればマネージャーとして所得が上がる。だから社会にでても積極的にパソコンの習得をするという。
 また所得の低い方には、古いパソコンを再整備したものを無償で提供するシステムも構築している。



CLAIRシンガポール事務所から望む街並み。
抜群の眺望である。








 A URAギャラリー   
           〜 URA Gallery 〜



 8月20日(月)  13:00〜14:20 

 
 現在及び未来のシンガポールの都市開発状況が模型で展示されている。同庁が策定している「コンセプトプラン」は、シンガポールのまちづくりの指針を示す長期計画であり、都市整備・都市計画の骨格を成すものである。先に発表した「コンセプトプラン2001」では、土地活用方法等についてインターネットや新聞を通じて、広く国民の意見を取り入れ、国民の意向に沿った開発計画を策定していく予定という。



          都市再開発庁
(URA:Urban Redevelopment Authority)の中にあるギャラリー。現在の建物と将来構想とをわかりやすく模型で表現している。








 B ウッドランドシビックセンター 
           〜 Woodlands Civic Centre 〜


 8月20日(月) 14:50〜16:00 


 図書の貸し出しは、1人10冊まで、IDカードで借りれる。返却は1ヶ月以内にシンガポール国内の約10ヶ所あるどこの図書館でもOK。
IT化により貸し出しも返却もすべて無人。
 
 ウッドランド地区にある、図書館などの公共施設と銀行などの民間施設が入居している大型施設。
 中でも、図書館は今年の4月29日に開館したばかり。シンガポール国内で最も大きく、フロアは4階に分かれており総面積は11,100uに及ぶ。
 IT施設も充実しており、54ものマルチメディアステーションを備えるなど、IT先進国家を彷彿とさせる図書館である。小さい子どもの遊戯施設やカフェも併設されており、地域住民の憩いの場としても優れた施設であるといえる。
 このほか、シビックセンター内には、シンガポール国民の医療や年金を扱う中央積立基金庁(CPF:Central Provident Fund)出張所や住宅開発庁(HDB:Housing & Development Board)出張所、銀行、病院、幼稚園、小売店舗などがあり、地域住民の利便性を重視した建物となっている。






 
 C マレーシア森林研究所 
     FRIM(Forest Research Institute Malaysia)


 8月21日(火) 9:00〜10:30


 世界最大級の熱帯雨林、世界最古の熱帯雨林を有するマレーシアは、世界有数のエコツアーの適地である。
 マレー半島の深奥部やボルネオ島まで行かなくても、マレーシアの熱帯雨林を体験できる施設がクアラルンプールから車で約40分程の郊外にある。
 現在のFRIMがある土地は、もともと錫の鉱山跡や野菜畑、藪が不規則に広がる場所だったが、1926年頃から研究者などの手によって植林を行い森林の再生努力が重ねられた。およそ70年後の現在、まるで昔からあったような熱帯雨林が蘇っている。 1986年には正式に政府機関に認定され、国際的にも高く評価される森林研究所となっている。
 研究所の主な仕事は、森林資源を有効活用するための技術開発や、森林生態系の研究で、観光客の受け入れは必ずしも研究所の本来の目的ではない。研究者の訪問や教育旅行・エコツアーなどの受け入れも行っている。最近は日本からの修学旅行生も訪れる。
 ここでの熱帯雨林体験はなかなか本格的なものである。本来は中に入って3時間程度歩くのが理想だが、かなりハードな行程となるので、今回は、スライド等による研修と質疑を受けた、付属の博物館で説明を受けた。
 熱帯雨林の、入り口から雰囲気を味わったが、早速「蚊」「ヒール」が襲ってきた。



研修室での説明


付属の博物館


熱帯雨林の入り口
防虫対策をしなければ入れない。





 
 D 高原都市のレジャー施設等の取り組みについて
                   ゲンティン・ハイランド



 8月21日(火) 13:00〜15:00


 
 標高1500mくらいの地点から、ケーブルカーで移動できる。当日は、標高1800mくらいから雲があり、頂上のいろいろな施設は、その全景を見ることができなかった。

 
クアラルンプールの北東約51Km、標高約2000mの高地にある熱帯にあって清涼なリゾート都市である。
 とにかく、いきなりの涼しさに、ここがマレーシアなのかと疑った。
 テーマパーク、シアター、レストラン、ゴルフ場 マレーシア唯一の政府公認カジノがあり、週末にはどのホテルも満室になる賑わいとなるという。
 こうした巨大な高原都市をリゾート地として開発した計画から現状・問題点をいろいろな角度から説明を受け、質疑を行った。
 とにかくスケールの大きさに驚くのみであった。






 E アジアへ進出した日本企業の取り組みについて
      ロームワコー・エレクトロニクス・マレーシア



 8月22日(水)  9:15〜10:45

 
 マレーシアはASEAN諸国の中でナンバーワンの半導体輸出量を誇るエレクトロニクス産業の盛んな国である。
 ローム・ワコーは、ローム株式会社とともにこのマレーシアに生産拠点を設けている。それが、1989年にケランタン州コタバル市に設立したローム・ワコー・エレクトロニクス・マレーシアである。
 生産するのは、LEDとダイオード及び抵抗器で、ユーザーの海外進出や生産シフトに部品の現地調達で対応できる体制としている。また、順次生産設備の増強や生産品目の多様化を図るなど、東南アジア諸国の高まるニーズを吸収。
 ローム・ワコーのグローバリゼーションは、ここマレーシアを中心に着実に進展している。
 ローム・ワコー・エレクトロニクス・マレーシアは、ローム株式会社とロームグループの中核企業であるローム・ワコーが、1989年に合弁企業として設立したものである。リード付き炭素皮膜抵抗器、スイッチングダイオード、ツェナーダイオード等を生産、1996年1月からLEDの生産を開始。ロームグループにおけるその世界的な生産拠点となっている。
 抵抗器生産工場では、スラグリードの溶接から、組み立て、シールド、測定、標印まで、連続ラインで一貫生産を行い、高品質な製品を送り出している。日本の品質管理体制のノウハウで信頼性も万全である。世界に先駆けて極小チップを開発したロームと、長年の生産実績を誇るローム・ワコーの技術を融合し、高品質のリード付き炭素皮膜固定抵抗器を生産。着炭工程、測定・テーピングの最終工程も実施し、すべての製品を最先端の一般製造ラインで生産している。
 

 ローム・ワコー・エレクトロニクス・マレーシアの会議室にて、説明を受ける。


 ローム・ワコー・エレクトロニクス・マレーシアの玄関前で記念撮影


 LED生産工場は、製造設備の充実、工程のクリーン化など、生産性及び品質管理面の体制など、日本におけるそれと同様のクオリティが保たれている。また、同一ラインでさまざまな品種を製造できるFMS(Flexible Manufacturing System)化を推進し、多品種ニーズにも対応可能である。
 
 


 
 F コタバル市役所表敬訪問



 8月22日(水) 13:30〜15:00


          コタバル市役所にて



     コタバルのセントラルマーケット

 3階建ての建物の内外に果物・野菜・魚・肉・雑貨と盛りだくさんの市場である。



 コタバル市は、ケランタン州の州都で、美しい海岸線を誇っているタイ国境に近い半島マレーシアを代表する文化都市である。ケランタン川の東に開けた市街にはマレー文化を伝える多くの博物館や美術館がある。人口は約36万7000人、面積は116Ku。
 ロームワコーの現地法人を通じて、長い間の交流、友情を育んでいる。ロームワコーの現地法人は、従業員1149名(平成13年8月1日現在)で、コタバル市内のトップ企業の1つとしてマレーシア経済に多大な貢献を行うと共に、本社を有する「カサオカ」はすでに現地で親しく固有名詞化されている。
 平成10年10月21日にスウェーデンのモービロンガ市と共に、笠岡市と友好握手都市宣言(シェイクハンズ都市)を締結している。
 我々が伺った10日ほど前に、笠岡市長も訪れている。
 来年の笠岡市政施行50周年記念式典には、コタバル市からも笠岡へ何人か訪れる予定である。






 G マレーシアの行政都市・未来都市の取り組み
          サイバー・シャヤ プトラ・ジャヤ



 8月23日(木)  13:00〜14:00

 
 プトラ・ジャヤは1995年から建設がはじまった21世紀の首都で政府の直轄地である。現在、首相官邸・首相公邸・立法・行政機関の庁舎・官舎・研究機関等を随時移転させている。
 政府・行政機関地区、商業地区、レクレーション・スポーツ地域、文化施設などにモスク・日本庭園・サンクチュアリーなどを含む新行政都市は、わずか5年間の超スピード工事でジャングルに誕生した。クアラルンプールの南約25Kmで、面積は4581ha。人造のプトラ・ジャヤ湖や運河が中央に広がっている。周辺は自然保護地で140種を超える野鳥、40種の魚類、25種の哺乳類の生息地として熱帯の自然が守られている。
 首相官邸となるプトラ・ビルは左右に翼を広げたイスラム様式のビルで威容を誇っている。
 プラト・ジャヤはこうした21世紀の行政都市で、隣接するサイバー・ジャヤはハイテク研究都市で21世紀のマレーシアの頭脳となる都市である。
 今回は、プトラ・ジャヤの首相官邸・首相公邸・モスクの内部を視察した。
 とにかく、計画のスケールの大きさに感動した。
 工事中の人造湖も先に、橋を作って、その後、下を掘って水を溜めるという工法をとっていた。
 また、サイバー・ジャヤは、そのほとんどが工事中で、大学や研究機関・ホテル・レストランが建設中であった。
 1年後には、クアラルンプール空港を結ぶ鉄道も開通するという事である。
 最終的に街づくりが完了したら、電車・バス・水上交通を最優先し、車は最大限除外するという。
 こうした想像を絶するスケールの街づくりにし、ただ驚くのみであった。


   人造湖とプトラ・ジャヤの首相官邸

首相官邸の1階で、プトラ・ジャヤの全体計画の説明を受ける。


       プトラ・ジャヤの居住地区

プトラ・ジャヤ全景・まだまだ工事中である。


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