福岡県飯塚市
飯塚市は、福岡市の東約30km、北九州市の西南約35kmで、福岡県のほぼ中央に位置する。
筑豊本線が南北に走り、国道200号・201号・211号が市街地で交差した交通の要衝である。
太古から文化の地・穀倉地帯として栄え、明治2年の鉱山開放宣言に伴い、往時の宿場町から炭鉱のまち、商業の中心地として発展し人口も増加した。
しかしその後の石炭産業の衰退により、一時地域経済基盤が沈下した。
そして石炭から脱皮した新しい街づくりを目標に、企業誘致をはじめとする地域振興施策を強力に推進した。
昭和62年に九州工業大学情報工学部の開学及び近畿大学九州工学部の学科増設を契機に学園都市づくりを目標に掲げ、県央文化・情報都市を目指し、計画的な整備を進めている。
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飯塚市役所 |

飯塚市クリーンセンター 清掃工場
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飯塚市クリーンセンター 清掃工場
行政区域内の面積は、71.80kuで、約8万人の収集人口である。
平成10年3月に竣工した新日鉄のガス化溶融炉で、1日180t (90t/24H×2炉)の処理を行なっている。平成14年度のごみ処理量、29,276.20tである。
余熱利用として、構内の暖房・給湯と構外では冬季に温室として利用している。
職員は27名で事務職6名と工場に委託21名となっている。
クリーンセンター清掃工場に隣接してリサイクルプラザと埋立処分場がある。
飯塚市クリーンセンターは、溶融機能が付いた清掃工場・リサイクルプラザ・最終処分場で構成され、廃棄物を外に出さないゼロミッション型の廃棄物処理施設である。
土地取得費・ごみ溶融処理施設・リサイクルセンター・埋立処分場を含めた総金額は、約170億円という。
里庄清掃工場の土地取得費と焼却工場が約76億円であるから、一体的な施設としては予想以上に安価であると感じられた。
今後は、飯塚市のように最終処分場を併設した一体的な施設が望ましいと思われる。
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ガス化溶融炉
溶融処理施設では、可燃ごみはもちろんのことリサイクルプラザから出る破砕可燃物・資源にならない残渣物・汚泥まで処理が可能である。
溶融施設で処理したごみは、溶融物(スラグ・メタル)として資源化 (スラグ・・・インターロッキングブロックの骨材、アスファルト用骨材。 メタル・・・建設機械用カウンターウェイトの重量骨材) される。
最終処分場で埋め立てされるのは無害化された集じん灰のみで極めて少ない量になる。
また埋立処分場で発生する浸出水は、溶融施設内で処理し再利用している。
ガス化溶融炉は、1700〜1800度の高温で一括して溶融することにより、ダイオキシンの発生を抑制する万全な環境対策を施している。
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ガス化溶融炉 |
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飯塚市クリーンセンター エコ工房

飯塚市クリーンセンター リサイクルプラザ

飯塚市クリーンセンター 埋立処分場

冬に蒸気で温める温室
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以前に、釜石市の「ガス化溶融炉」を視察した事があった。当時、新日鉄の試験プラント的な施設として日本で始めてのものだった。
製鉄所の高炉を小さくしたというイメージである。
釜石市の「ガス化溶融炉」は、何でも溶かして無害化するという感覚であった。
燃えるゴミも燃えないゴミも全て、溶融炉で処理する。溶融炉の入口を通過できるサイズであれば、洗濯機でも冷蔵庫でもテレビでも自転車でも投入して溶融してしまう。
投入口に入らないサイズのものは破砕して投入する。
実際に投入口近くにあった、冷蔵庫・自転車を見て唖然とした。
高温で溶融するためダイオキシンの発生もない。また最終処分場の残渣物・土も再投入可能である。
そして汚染された最終処分場が大幅に圧縮した質量となり無害化される。
溶融物の資源化と最終処分場の質量の大幅な圧縮、無害の最終処分場という「夢」の処理施設に感動したのを記憶している。
当時、「ガス化溶融炉」は建設費用が高いという事もあって、釜石市だけの稼動であったが、将来は確実に必要とされる処理施設であると確信していた。
あれから数年たって、全国的なダイオキシン問題で、「ガス化溶融炉」は各地に新設される時代となった。お隣の韓国でも注目されているという。
現在、「ガス化溶融炉」はリサイクル施設として認められている。
今後建替えられる施設は、「ガス化溶融炉」が主流になるのではないか。
笠岡市においても、集約された岡山県西部の処理施設として、安全な最終処分場を併設した「ガス化溶融炉」を考える必要があると思う。
見崎山の最終処分場も近いうちに満杯になってしまう。その前に計画的な構想を持たなければならない。
もうすでに計画立案を開始する必要があるはずだ。
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7月19日の記録的な集中豪雨で、飯塚市では大きな被害となった。
その時の瓦礫が山積みしてあった。
これらの瓦礫もガス化溶融炉に投入する。
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