第35回・岡山県市議会議員研修会


2003.08.18

岡山県市町村振興センター・5F れじょんホール






 「議会運営について」という演題で、講師の野村先生が準備されていたレジュメを下記に掲載しました。



第35回 岡山県市議会議員研修会
   「議会運営について」

           前全国都道府県議会議長会議事調査部長   野村 稔 氏


1.地方議会の役割について


 平成5年の総選挙以来、国政は激変しているが、地方政治が安定しているので住民は動揺していない。

 執行機関を監視し、政策を提言する。
・・・・・・議員が条例案を提出する事が求められているが、実際は困難である。

 団体意思を決定する。(権限は制限列挙・・・15項目)
・・・・・・可決しなければ長は執行できない。


2.議員について

 議員は法令、先例、議運決定を尊重する。
・・・・・・改正すべき事項があれば議運で協議する。
・・・・・・どんない良い改革でも過半数(半数プラス1)の賛成がなければ実行できない。

 法令は話せばわかる人を前提としている。
・・・・・・議会政治は互譲の政治である。
・・・・・・議員は住民代表であるから品位を守る。

 地域の要望を議会で提言・・・部分から全体を連想する発想法を持つ。
・・・・・・議員は町内会長と異なり、住民全体の代表者。

 長の選挙の後遺症を議会に持ち込まない。
・・・・・・対立ではなく、政策を出し合い協調する。

 住民は、議会の活動を知らないので、議員の評価が低い。
・・・・・・議員は議会の大使。
・・・・・・議員報告では正確な情報提供を。
・・・・・・傍聴人を多くする努力を。

 議員に支給されるのは報酬・費用弁償・期末手当である。
 この他条例で政務調査費を支給する事ができる。
 (支給対象は、議員のみ・会派のみ・議員と会派の両方・・・住民のための政策提言に使用する議員活動費)

 議会研修、自己研修で情報を集める。

 議員・・・従来の戦前派の議員からサラリーマン議員、そして最近(8年程前から)は、年齢が若い・女性が増える。(議員に限らずトップも)


3.発言について

 質疑とは・・・疑問点を聞く、質疑には2種類がある。
・・・・・・提出者に対する質疑は委員会付託前の本会議で行う。
・・・・・・委員長に対する質疑は委員長報告の本会議で行う。(提出者に対してできない。)
・・・・・・3月定例会では当初予算と条例案は表裏の関係にあるので一括して行うのが能率的である。

 質問とは・・・疑問点を聞き意見を述べることができる。

 発言通告書を出す。(詳細に書く)

 持ち時間は発言できる最長の時間である。

 足で得た情報を基本にして、追求だけでなく提案を含めて行う。
・・・国会の予算委員会は不穏当


 同じ住民の代表だから、同じ質問はしない。他の議員の発言を聞く。

 読むのではなく話す。・・・言論主義、簡潔に。対面して一問一答。

 議員(選良)にふさわしい品位のある発言をする。

 発言の取り消し・・・会期中に限定
・・・・・・議長の発言取り消し命令(発言者の意見を問わず取り消しとなる。)
・・・・・・発言議員の発言取り消し申し出(可決で取り消しとなる。)
・・・・・・他の議員が発言取り消し動議(可決になっても取り消しにならない。)
・・・・・・議長の発言取り消し留保の宣言(取り消しの有無を議長に一任する。)


4.委員会の運営について

 懇談調で行うが、委員長の議事整理権、秩序維持権に従う。

 傍聴は本会議が自由公開を原則とするが、委員会は委員長の許可による制限公開。なるべく審査しているところを住民に知ってもらうため傍聴を許可することが適当。(基本は審査第1、傍聴第2)

 執行機関の説明・答弁だけでなく必要により、関係者等を参考人として出席を求めて意見を聞く。委員派遣で現場を見る。

 委員会の表決に誤り事情変更があったときは、本会議の議題となる前であれば再審査を行う。(一事不再議の原則の例外)

 所管事務調査で現状・問題点・対応策を明らかにする。

 委員派遣では、視察の目的を明確にし、事前の勉強を行い、報告書を議長に提出(説明内容と委員の意見を記載)し、本会議や委員会の審査に活かす。当該団体で重要事件が生じたときは中止することに留意する。


5.請願

 内容に賛成できなければ、紹介議員になれない。
 必要により請願者等を参考人として意見を聞く。
 必要により現場を見る。(委員派遣)
 実現の状況について、随時、報告を求める。(口頭・文書)


6.意見書・決議

 意見書は、当該団体の「公益に関する事件」に限定し、乱発しない。

 外交問題の意見書は慎重にする。
過去の例・・・ベトナム戦争、日中平和友好条約の締結、フランスの南太平洋での核実験、イラク戦争


7.議会事務局について

 分権時代に議会の権限を発揮するために、議会の補助機関である事務局を充実する必要がある。

 執行機関と議会事務局における短期の人事交流の長所、短所

 事務局の助言を尊重する。