建設産業常任委員会

行政視察

2003.05.20〜23

京都府・舞鶴市 

「汚水処理施設連係整備事業について」
「汚水処理施設共同整備事業について」


長野県・大町市 

「大町浄水センターについて」
「空店舗活用事業について」





京都府・舞鶴市

「汚水処理施設連係整備事業について」
「汚水処理施設共同整備事業について」


舞鶴市役所

京都府舞鶴市

 舞鶴市は京都府北部の日本海に面した港湾工業都市である。
 城下町として栄えた商都の舞鶴市と、軍港都の東舞鶴市が昭和18年に合併して「舞鶴市」が誕生した。
 平成3年に舞鶴自動車道、平成10年に京都縦貫自動車道、平成11年にJR舞鶴線電化・高速化、さらに日本海側最大級のコンテナ埠頭建設などの大型プロジェクトが進展し、世界に開かれた海洋・文化都市を目指している。
 面積は約342ku・人口は約93,500人。


汚水処理施設共同整備事業 
     (MICS:ミックス)


 都市の周辺部等においては、下水道・農業集落排水施設・合併浄化槽等、様々な汚水処理施設事業が実施されている。それらを共同で利用する施設を整備し、施設整備を効率化する事業である。
 この事業は平成14年度末見込みで全国で53箇所で実施されている。

 下水道整備は、処理能力や耐用年数等、合併浄化槽より優っているが、とにかくコストが高くついてしまう。
 集落がまとまっていない場合は、特に割高になってしまう。
 そういう観点から合併浄化槽も併用した形をとらざるを得ないケースが今後考えられる。
 その場合、下水処理と合併浄化槽処理を連携して行うと大変効率が良くなるわけである。


舞鶴市議会・委員会室


舞鶴市・東浄化センター

舞鶴市の下水道事業


 舞鶴市においては、昭和33年に公共下水道の都市計画決定が認可されてから今日まで整備を進めている。
 平成8年に、公共下水道地区・農業集落排水事業地区・漁業集落排水事業地区・特定環境保全公共下水道地区・合併浄化槽地区という区分けを行って、全戸水洗化を目指し「舞鶴市水洗化総合計画」を策定した。
 公共下水道事業では市内に2箇所の浄化センターを整備している。
 東浄化センターにおいては、昭和40年代より、同一敷地内で、し尿処理及び下水処理開始して以来、各処理量の増加に伴い施設を増強し、処理能力の増加を図ってきた。施設の老朽化等などによる更新を考慮した全体計画の見直しのなかで、し尿処理と下水道処理施設が同一敷地内に併設している実情を考慮して、効率的な汚水処理事業ができるよう「汚水処理施設共同事業(MICS)」を実施することとした。
 対象となる施設としては、共同処理するのが効率的と思われる汚泥処理施設(汚泥濃縮機、汚泥脱水機及び汚泥処理棟)と消毒設備を位置づけている。


舞鶴市の汚水処理施設整備事業


 舞鶴市では、下水道・農業・漁業集落排水施設、合併浄化槽等の汚水処理施設の整備事業について、それぞれの特色を活かして連携することにより、効率的かつ計画的な整備を図ろうと平成12年度より本整備事業を実施している。


 平成16年度までの5年間の事業計画は下記の通りである。

公共下水道 145億0100万円   2処理区   処理施設・1式、管渠66.8Km  
特殊 20億6100万円 2処理区   処理場・2箇所、管渠10.8Km
農業集落排水   24億0500万円 5処理区   処理場・1式、管渠17.6Km
合併浄化槽 1億8900万円 447基 *
総事業費   191億5600万円 * *


事業による効果

計画前    平成10年度末    普及人口     47,746人 人口普及率     約51%
事業中 平成14年度末 普及人口 56,619人 人口普及率 約61%
計画後 平成16年度末 普及人口 63,226人 人口普及率 約67%



今後の整備計画・課題

 舞鶴市総合計画において、「快適で楽しいまちづくり」を掲げている。その中で、平成17年度の水洗化普及率を70%達成を目指して整備を進めている。
 連携整備事業の採択用件の内、「汚水処理施設の普及率が50%未満の市町村であること」となっているため、平成17年度以降の本事業の採択は無いという事である。
 課題として、農業集落排水事業では、本事業として2処理区が採択(1処理施設は予定)され、一定の成果が上がっているが、今後、国・府の財政が厳しい中で、新規採択が困難であり、農業集落排水事業から合併浄化槽事業へ変更するなど、計画の見直しが必要だあるという。


舞鶴市の下水道の受益者負担金

 なんと公共下水道に関しては、受益者負担金がないという。
 他の集落事業・特定環境に関しては、受益者負担金が工事費の1割・上限50万円としている。
 また舞鶴市は全市的に都市計画税を賦課していない。

舞鶴市の全戸水洗化を積極的に推進する背景

 舞鶴市は、潮の干満の差があまりない舞鶴港内部の汚濁を解消するために全戸水洗化を打ち出した。
 また特定環境保全公共下水道事業は、自然環境の保全という事で、主に海水浴場周辺の環境整備をする必要があった。





長野県・大町市

「大町浄水センターについて」



大町市役所

長野県大町市

 大町市は、長野県の北西部で松本平の北側に位置する。内陸性の気候で冬は寒く夏は涼しい。
 21世紀を迎えた今日、身近な生活環境の改善から地球環境の保全まで、様々な環境問題への取り組みが重視される中で、大町市においても、市民・事業者・行政等が協働と連携を図りながら、新しい時代の課題や要求に応える山岳文化の振興が求め「山岳文化都市」宣言を平成14年3月に行っている。
 総面積、468.84kuで全国でも屈指の広面積を有している・人口は約30,600人。

 

大町浄水センター

下水道の処理施設はとかく迷惑施設として敬遠される。大町浄水センターは、そうしたイメージを払拭するためにも、処理場はもちろん、周辺の環境整備を進め、地域コミュニティーの醸成にも役立つような施設として平成5年度に工事着手し平成9年度に供用を開始している。
 大町浄水センターの周辺は、住宅・工業地区として位置づけている。
 このため隣接して公園の建設を行い、進入道路も幅員10.5mに拡幅して周辺の環境整備を進めてきた。
 浄水センターの環境対策として、処理方式の中では臭気がほとんどでない「酸素活性汚泥法」を長野県下ではじめて採用し、臭気防止に万全を期している。
 隣接する公園と日照環境の良さから市立保育園が移転建設された。また進入道路沿線では、雇用促進住宅が建設されるなど、新興住宅地となっている。
 下水道処理場は敬遠されがちなイメージを払拭しね気軽に散歩ができる地域に密着した施設となっている。




大町浄水センター

大町浄水センター
水と緑のリフレッシュパーク

水と人とのリフレッシュパーク


 大町浄水センターでは、「水と人とのリフレッシュパーク」として、敷地内の通路の模様や植栽等を「水玉」をイメージさせる円や球で構成しているほか、せせらぎのある庭園ゾーン、壁に映る木々の陰を楽しむ「シャドーウォール」等の施設を設けるなど、処理場に対するイメージの刷新を図っている。
 また、隣接して公園を造成したり周囲の道路の拡幅を図るなど、処理場周辺の環境についても整備を一体的に進めた。その結果、処理場には周辺の住民が多数訪れ、地域の新たなコミュニティを創造する場となっている。
 この事業は平成10年度「いきいき下水道賞の地域環境創設部門 を受賞している。


今後の課題

 かつての水田地区に、浄化センター、ごみの焼却場、し尿処理場という迷惑施設が数百メートルの範囲内に存在している。
 地理的条件での施設集中はやむを得ないことであるが、ごみ焼却場のダイオキシン測定や浄水センターからの放流水質結果を地元の自治会に定期的に報告し、地元の理解を求める努力が今後も必要である。
 浄水センターの放流先河川が数百メートル先であるなど放流水質の管理には細心の注意が必要となっている。


大町浄水センター
水と緑のリフレッシュパーク



「空店舗活用事業について」


大町市の商店街の現状


 大町市の中心商店街は、信濃大町駅付近から約1.5kmの中央通りを軸に10の商店街により形成されてる。昭和50年代までは賑わいの中心であったが、モータリゼーションの進展、消費者ニーズの変化、大型店の郊外進出等により集客力が低下して、市街地の空洞化に拍車がかかるとともに家賃や後継者問題により、シャッターにより店を閉ざした店舗が増えてきた。
 こうした現状から、中小企業振興条例に基づく補助制度として、平成12年度・1件、平成13年度・3件、平成14年度・4件の家賃の補助を行った。
 また平成13年度に商工会議所による空き店舗活用事業の試験的な事業を展開し、平成14年度には期間を延長して事業展開を行った。



大町市議会・委員会室

大町市・中央通り・商店街

大町商工会議所空き店舗活用事業
ドリームスペース(チャレンジショップ)


 深刻となっている中心市街地の空洞化について、平成14年7月から9月まで商工会議所が取り組んできた、空き店舗を活用した「ドリームスペース」は、来店者も予想を上回った。
 出店者や訪れた方からのアンケート結果によると、利用期間やPR方法など検討の余地はあるものの、来年度以降も継続を要望する意見が多く寄せられた。
 また、各商店街においても、菊まつりやオブジェ展など、まちの賑わいを少しでも取り戻そうと、自主的な活動が生まれてきている。


大町市中小企業振興条例に基づく助成制度
空き店舗活用事業
・・・家賃の一部を1年間補助・・・あなたのアイデアで空き店舗がよみがえる!

  1. 空き店舗を商店街の集客に役立つ施設(ギャラリー、多目的ホール、フリーマーケット等)として改修するもの
商店街の活性化を図るため空き店舗を左欄に掲げる施設に改修するに要する経費 2/3以内
限度額 500万円
  1. 空き店舗を商業(サービス業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第1項に規定する風俗営業の用に供する施設を除く。)を含む。)及び集客に役立つ施設(ギャラリー、多目的ホール、フリーマーケット等)商店として使用するために借用するもの
    (以下「商業・集客施設等」という。)
左欄に掲げる施設を賃借する場合の家賃 1/2以内
ただし月額10万円、12月を限度とする
  1. 空き店舗を上記に掲げるもの以外の事業の用に供するために借用するもの。ただし、倉庫、ガレージ等を除く
1/3以内
ただし月額10万円、12月を限度とする