誠信クラブ

行政視察

2003.02.17〜19

神奈川県・大和市
「ICカード事業について」 


群馬県・渋川市 
「生垣・ガーデニングコンテストについて」
「収集困難物対策について」




神奈川県・大和市

ICカード事業について




大和市役所



神奈川県大和市

 神奈川県の中央に位置する大和市は、昭和34年に市制施行した。その後市内各所で次々に土地区画整理事業が実施され、昭和51年に東急田園都市線が開通した。平成4年4月には人口も20万人を突破し、神奈川県の中堅都市として位置づけられている。
 北に相模原市・東京都町田市、東に横浜市、南に藤沢市、西に座間市・海老名市・綾瀬に接している。面積は約27kuで、人口は現在約21.7万人である。
 鉄道は中央部を東西に相鉄線、南北に小田急江ノ島線が走るほか、北部には東急田園都市線が乗入れ、狭い市域に8駅があるため、市内のどこからも最寄りの駅まで10分前後で行けるという。また、道路網も国道246号線や国道467号線、主要地方道丸子中山線などが東西、南北に走り、交通の便も大変良い。


大和市の情報化

 
大和市の情報化は1998年から取り組んだという事で決して早くはなかった。
 現在も市役所内部のパソコンも1000台のうち500台は職員の持ち込みという事だが、29の学校は各教室まで光ケーブルが接続され、また市民のネットワーク環境も大変進んでいる。
 こうした情報化政策を短期間に整備したのは、大和市企画部情報政策課副主幹(慶應義塾大学SFC研究所所員・非常勤講師)の小林隆氏の考え方に起因しているように思われる。小林氏は、都市計画の専門であるが情報化にも積極的に取り組んでいる。
 職員も自ら、手作りのホームページを作成し、また市民も高齢者までホームページを作成している。
 大和市においては、すべての職員がホームページ作成にたずさわっている。各課にネットワーク・リーダーがいて指導を行ってきた。
 現在、大和市のホームページは、約1万ページという膨大な内容となっており、各課の責任で徹底的に情報公開している。
 これらホームページ作成は無料のソフトで対応しているというから驚きである。
 
 こうして、この4年間で急速に情報化が進み、「日経インターネットアワード2002 」を自治体部門で受賞した。とにかく大和市情報化の取り組みは驚くほど進んでいる。
 
 




大和市のホームページ

電子掲示板(電子会議室)

 インターネットの分野では、市内95ヶ所の公共施設でインターネットが利用できる情報基盤を整備し、市民と行政がインターネットで情報交流できる電子会議室「どこでもコニュニティ」を開設するなど、ハード・ソフトの両面から情報環境整備を進めている。
 この大和市の掲示板「どこでもコミュニティー」は、登録制を取り入れているため、誹謗中傷はほとんどないという。
 書き込みも実名で行う人もいるし、身近な道路の悪い箇所を市民が書き込みすることにより、市の道路維持管理担当職員が直接、具体的な対応を書き込みしたりする事もあるという。
 私も「どこでもコミュニティー市民会議」のバスワードを取得して、時々内容を見させて戴いているが、情報化による「市民との協働の街づくり」は、大変先進的な取り組みである。
 条例を新設するときも、電子会議室で議論を交わしているというから、驚きの連続である。


ICカード事業

 
 経済産業省の「ICカードの普及等によるIT装備都市研究事業」として 大和市が採択され、全国に先駆けて実施している。ICカード並びに運用するためのシステムの開発や整備の費用を国が負担している。

 この事業は、市民がICカードを利用することで、簡単に情報社会に参加し、その多大なメリットを享受できることができる。
 ICカードも、外観は磁気カードと同じプラスチック製のカードだが、カードの中にはICチップ(小さな集積回路)が入っている。その中に多くの情報を書き込む事が可能である。
 ICカードは、偽造が難しく、ICチップの中の情報を暗号化したり、本人確認のための署名のソフトを入れたりすることで、ほかの人に情報が漏れないようなセキュリティーが可能である。
 現在、市民の4割の9万人の方々がICカードを既に取得しているという。


地域電子通貨システム(呼称:LOVES)

 大和市のICカード事業の大きな特徴は、「地域電子通貨システム」の導入である。。
 このシステムは、市民の「知識」、リサイクルなどの対象となる「財産」、ボランティアなどが提供する「役務」などに市独自の価値を持たせ、それを循環させることで、地域コミュニティを活性化させようという試みである。
 LOVESは、大和市だけで使える電子上の通貨で、「教えてもらったこと」や「してもらったこと」などの対価として、実際のお金を支払う代わりに、自分のICカード上の通貨(LOVE)が差し引かれる。
 そして相手方のICカードにはポイントが加算され、そのポイントで別のサービスなどが受けられるしくみとなっている。


「地域電子通貨システム」の主なサービス

@公共施設や講座などの予約 
 市内の公共施設(学習・スポーツ施設)の利用、学習センターなどが主催する講座や催しの予約。

Aものを大切にするリサイクルシステム
 家庭で使わなくなったものなどを登録して、希望する人へ提供する。

B人を大切にするシステム 
 「これができる」「してほしい」といった情報を登録。







ICカードのその他のサービス

@住民票、印鑑登録証明書の交付手続き
  申請用紙を書かなくても、交付申請ができる自動発行機も導入する予定である。また、大和市民であることを証明する「市民証」としての機能も持たせる予定である。

A市立病院では健康保険証として
 将来、ICカードを健康保険証として利用できるようにするために、市立病院で資格証明として試験運用している。

B災害時の避難情報登録・確認
 大規模災害時に避難場所となる学校などで、自分の避難情報をICカードに登録することで、ほかの避難場所に離れ離れになった家族の状況などが確認できる。


ICカードリーダー

ICカードの情報の読み書きには、「ICカードリーダ」が必要である。
 ICカードリーダは、市役所各窓口、学習センター、コミュニティセンター、市立小・中学校など、公共施設95ヶ所に約1000台を設置する予定である。
 また、学習センターなど市内27ヶ所の公共施設に設置された市民端末から直接利用できるようになる。
 今後は、公共施設だけでなく、民間の店舗などにもICカードが使える端末を設置していき、更なる利便性の向上を目指すという。





群馬県・渋川市

ガーデニング・生垣コンテストについて


群馬県渋川市
 
 渋川市は、日本列島のほぼ中央に位置していという事で、「日本のまんなか緑の渋川」を昭和58年にキャッチフレーズとしている。 また、翌59年には、「日本のまんなかへそのまち」を全国に向けて宣言している。
 渋川市は、関東平野の最北西部に位置し面積は、約52Kuで群馬県内11市の中では最小である。
 現在の人口は焼く4.8万人である。
 新幹線を乗り継ぎすれば東京まで、約80分程度という事で、東京まで新幹線通勤する人もいるという。
 現在、中心市街地の土地区画整理事業を進めている。



自然と人々が共生する活力ある交流文化都市

 
渋川市は街路樹と彫刻を彩られた街として、ミュームジアムロードを整備している。
 今までも「花いっぱい運動」「生垣設置奨励事業」を実施したてきた。
 「花いっぱい運動」は、平成14年度・12団体、平成15年度・16団体が行っている。
 また「生垣設置奨励事業」は、平成5年度から実施して、平成14年度までに累計133件、累計生垣延長は2,904.7u、補助費累計は、4,714,180円となっている。
 この生垣設置奨励事業で生垣の苗木に対して補助を行い、生垣コンテストでその成長・管理をコンテストで評価する事により、緑化意識を高めようとしている。
 
 また渋川市においては、昭和59年より、家を新築したり出産したら、記念に樹木の苗木をプレゼントする事業を現在も継続している。
 


ガーデニング


生垣

ガーデニング・生垣コンテスト
 

 渋川市では、緑化に対する市民の関心と理解を深め、花で飾られた都市環境を市民と一体となって整備するため「渋川市ガーデニング・生垣コンテスト」を平成13年度より実施している。
 この事業は、緑とふれあう、うるおいとやすらぎのある都市環境を市民と一体となって整備し、緑化に対する市民の関心と理解を深めて戴くことを目的としている。
 ガーデニングの部は、手作りにより工夫を凝らした庭、玄関、ベランダなど屋外に設置された「花と緑の空間」の写真3枚を1組提出して審査を行う。
 生垣の部は、自らの手によって維持管理し、美しい景観を作り出している5m以上の生垣の写真3枚
を1組提出して審査を行う。
 市内の個人・団体・法人が渋川市都市計画課・緑化公園係へ提出して応募する。

平成14年度の応募期間は、平成14年4月1日(月)〜平成15年2月28日(金)となっている。

ガーデニング、生垣の部とも平成15年5月頃、優秀賞1点・優良賞3点・努力賞6点・応募者全員に参加賞を準備している。(事業費は年間で11万円程度)

 この事業の問題点として応募者数が少ないという事である。
 市民と協働の緑化運動を展開するためには、もっと市民の理解が必要だと思う。
 これからは市民と協働で街づくりを推進するというこうした事業が求められていると感じた。



群馬県・渋川市

収集困難物対策について


渋川市環境衛生推進協議会


 渋川市環境衛生推進協議会においては、ごみの減量化業務(有償斡旋物資)、ごみ持ち出し指定袋の管理(商店販売を含む)業務、地域における集積所管理業務(新移設、清掃、住民排出指導)や各種配布物(カレンダー、年末年始、検診、狂犬病予防)等を行っている。

 平成10年度に行った「家庭に眠る廃タイヤ回収事業」は全国で先駆けて実施し、この回収事業の成功が自身となり、翌年からは処理困難物のリサイクルをテーマとした「環境まつり」へと発展した。

 この協議会は市内全世帯を会員としており、年額200円を会費として徴収している。
 また市内に50の支部組織があり、きめ細かく活動ができるシステムを構築している。

 市からは環境課(美化、ごみ)と健康管理課(狂犬病、検診)の双方で年間800万円の業務委託料を協議会に対して交付している。


 現在、協議会で行っている「環境まつり」での回収事業は家庭に眠る廃タイヤ、廃バッテリー、老朽化消火器と拡大している。
 このように市民全員が環境問題に対して積極的に取り組むことができるシステムを構築している。
 こうした協議会の活動は、市民との協働の街づくりとして大変評価されているという。