誠信クラブ

行政視察

2002.11.25〜27

大分県・別府市 「管理職応募制・降任制について」 


大分県・竹田市 「空店舗対策について」





大分県・別府市


別府市

大分県別府市

 別府市は、九州の北東部、瀬戸内海に接する大分県の東海岸のほぼ中央に位置し、南は野猿で有名な高崎山をへだてて県都大分市と隣接、北は県北テクノポリス圏として躍進する史蹟の里国東半島の市町村と接し、西は阿蘇国立公園に属する由布岳、鶴見岳の連山を中心に南北に半円形に連なる鐘状火山(トロイデ)に囲まれその裾野がなだらかに波静かな別府湾に続く扇状地である。
 市内には、古くから「別府八湯」と呼ばれる温泉群が点在し、2800有余の源泉から湧出する温泉は、一昼夜137,000klにも及び、医療、浴用等々、市民生活はもとより観光、産業面にも幅広く利用されている。面積は、約1251ku、人口は約124,000人である。


 管理職応募制

 別府市においては、平成11年度から、課長級への昇任希望者を面接・筆記試験を行って登用する「管理職応募制」を行っている。この基本的な目的は、管理職としての「やる気」を求めるという事、年功序列に依存しようとする職員意識を打破する事、職員のモラルの向上という3つを掲げている。応募基準は45歳以上の課長補佐在職2年以上としている。
 この制度を利用して、平成11年度には該当者117名、応募者数39名、昇格者数11名、平成12年度には該当者134名、応募者数23名、昇格者数9名、平成13年度には該当者113名、応募者数25名、昇格者数14名、平成14年度には該当者116名、応募者数22名、昇格者数9名となっている。


別府市議会

 管理職降任制度

 そしてその逆として、平成13年4月の人事異動から、課長級以上の職員が管理職として職務遂行の自身がないとか、健康上の不安がある場合、自ら降任を希望する事を認めている。こうした「管理職降任制」は、大阪府枚方市や埼玉県幸手市で実施している。
 
 これら2つの制度により、職員の意思を尊重した管理職人事を行って、組織を活性化させようとしている。

 降任希望の対象は、消防本部と水道局を除く部長職・次長職・課長職で、降任希望届出書が提出されればヒヤリングを行って認めるかどうか決定する。認められると部長職は次長職、次長職は課長職、課長職は課長補佐職にそれぞれ降任となる。課長職から課長補佐職に降任となった場合、役職員手当て月額約6万円と給与が下がる。また部長職から次長職に降任に場合、役職手当て月額約8000円が減額となる。
 
 中間管理職になって職務にいきづまりストレス過多になる事もあるが、降任の選択肢ができたことにより、再度職員のやる気を引き出せるとの事である。役職手当の減額は職責からの解放に見合うものという見解である。

 別府市においては、現在までに降任制度の申し出がないのが実情である。
 しかし管理職応募制があるならば降任制度も整備する必要があると思われる。

 つまり「やる気」がある職員は管理職を応募し、そのかわり力不足を感じたりすれば降任もできるという両面があるべきである。この降任制度があるというのが管理職の自覚の向上につながっていると思われる。
 
 職員の「やる気」を重視したこの2つの制度は大いに勉強になった。 

          別府市役所・全景

 行政改革

 別府市では平成8年11月に行政改革大綱を策定して、様々な行政改革を推進している。まず計画的に職員数の削減を進めている。またラスパイレス指数も現在100.7まで下げている。
 民間企業派遣研修も平成8年度からデパート・ホテルで行っている。最近では技術職も民間企業に派遣をしている。
 また接遇に関しても、平成12年度に「別府市役所接遇読本」を作成して職場のマナーや接遇の基本マニュアルを職員に徹底させている。
 実際、市役所の職員の接遇は民間企業レベルだと驚いた。


         別府市役所・エントランス

別府市・議事場

対面・一問一答方式


 別府市議会は、対面式の一問一答方式を採用している。
 一問一答方式のため執行部の答弁は専門的な知識のある担当課長が行うという。しかし想定外の質問に答弁ができず、休憩の連続という。

 いろいろいな問題点もあるが、議会の活性化の観点からは望まれる方式であり、全国的にも注目されている。




大分県・竹田市



岡城址 (竹田市)

大分県竹田市

 竹田市は九州のほぼ中央、大分県の南西部に位置し、久住連山、阿蘇外輪山、祖母山麓に囲まれ、大分市より約50km、熊本市より約70kmの内陸都市である。 
 戦国時代に志賀氏が岡城に入城後、豊臣秀吉の天下統一の頃に中川氏が移封し、竹田に城下町を造成した。その後、商業を中心として発展し、西南の役によりその多くを消失したものの、現在でも、市内中心部には、武家屋敷通りなどの古い面影を多く残している。また、「名水のまち・竹田」としても知られており、日本名水百選「竹田湧水群」には、周辺市町村、大分市等をはじめとした多くの水汲み客で賑わっている。
 面積は約201ku。人口は約17,000人である。


空店舗対策事業
 

 近年、全国的な傾向のように、竹田市の中心市街地も空店舗が増えている。歴史と文化の街づくりを推進する中で中心市街地の活性化に取り組む中、空店舗の活用を模索してきた。そして平成12年度に、空店舗対策事業という事で7店舗をチレンジショップしてオープンさせた。

@ むらさき草・・・
郷土料理・特産品・体験コーナー・画廊・紫草資料館

AヘアーステージL、A・・・美容院

B クローネ・・・洋菓子専門店

C麦蔵・・・無添加味噌・醤油の量り売り

D交流館・・・無料休憩所・新鮮な海産物の販売

E交流館・・・交流や休憩の場

F清和館・・・無料休憩所

 これら7つの店舗は、中心市街地における空店舗を格安の家賃で提供し、イベント事業も絡めて賑わいを呼び戻す事を目的としてオープンした。


城をイメージした竹田市役所


竹田市議会事務局

竹田市議会・議事場


むらさき草の外観


麦蔵
無添加味噌・醤油の量り売り


年度ごとの事業の流れ

 平成11年度に、空店舗対策事業の理解と商店街の現状把握、商店街活性化への方策の模索を行った。

 平成12年度に「大分県中心市街地空店舗対策事業」を竹田商工会議所が事業主体となって行った。
@ チャレンジショップ事業 (空店舗を活用した実験店舗)
A 情報提供事業 (商店街の買物状況等の情報発信)
B 調査事業 (消費者等意識調査および実施効果測定)

 国1/2 県1/2 の補助率で、空店舗率が高く、商工会議所・商工会が中心市街地と認める法人組織化されている商店街を対象商店街とした。
 空店舗の活用方向の決定、経営者の公募、空店舗対策事業初年度 まちつくり会社梶uむらさき草」を設立。(竹田市が2口出資)

 平成13年度に12年度にオープンした7店舗への家賃補助の継続実施と新たな空店舗経営者の公募を行う。

 平成14年度、竹田市空店舗対策事業の要綱を作成。新規空店舗経営者3店舗への家賃補助を開始。(平成12年度にオープンした7店舗に対する家賃補助は終了)

 この空店舗対策事業により、観光客が平成12年度76万人、平成13年度98万人、平成14年度見込み120万人と増えている。

 この観光客増加の成功を支えているのは「むらさき草」であり、常に他の空店舗経営者に刺激を与え続けているだけでなく、既存の商店までその効果は波及している。少しずつではあるが確実に竹田市の商店街は業種変換が進み観光型商店街へと向かっているようだ。