建設産業常任委員会

行政視察

2002.11.06〜08

福井県・大野市 「市営住宅の管理運営について」 


石川県・輪島市 「商店街の活性化について」





福井県・大野市


大野市・寺町
街中の水路に豊富な水が流れている

福井県大野市

 大野市は福井県の東部にあり、北東は石川県、東は岐阜県、南は岐阜県と大野郡和泉村に、西は足羽郡・今立郡、北は勝山市と接している盆地の町である。。
 盆地の四囲は霊峰白山の支脈に囲まれ、東に赤兎山、願教寺山、南東に荒島岳、南は能郷白山、北東に経ケ岳などの秀峰がそびえている。
 岐阜県境に源を発する九頭竜川は、真名川・清滝川・赤根川をあわせて、大野盆地を南から北へ貫流している。これらの河川は、上流で九頭竜峡・真名峡の渓谷美をつくり、流れて4,000haのよく野をうるおしている。
 豊富な緑と清らかな地下水に恵まれた小京都と呼ばれる美しいまちである。
 面積は539.92ku・人口は約40,000人。


インフィル型市営受託建設事業

 大野市では6団地の市営住宅がある。
 老朽化した住宅で現在管理しているのは167世帯である。(そのうち23世帯が滞納している。)
 そうした中、中堅所得者層の居住の用に供する賃貸住宅の供給を促進するために制定された「特定有料賃貸住宅の供給の促進に関する法律」の規定に基づき、建設及び管理される賃貸住宅。民間資本の活用や市の財政負担の軽減を図ることから、中心市街地の土地所有者が、建設する特定優良賃貸住宅を市が一括して借上げし、市営住宅として賃貸する方式で建設したのがが、「町屋住宅」である。
 中心市街地の定住人口の増加及び美しい街並み創造とともに商業の活性化に寄与するため、市街地の空地等を活用して市営住宅(インフィル型市営住宅)の整備を進めた。
 
 民間の借上げについては公募でインフィル型(市街地空間活用型)の建設者を募集した。
 決められた中心市街地である事、面積、城下町としての景観に合わせた建物である事など、様々な要件がある。

 建設費は建築するオーナーの負担であるが、共用部分(廊下・エレベーター等)は、国1/3・市1/3が補助を行った。
 民間のオーナーの発注という事で、建設費は相当な圧縮をして建設している。
 オーナーには、1戸あたり90,000円の市の借り上げという事で、家賃保証もあり、大変有利な条件と思われる。

 市としても建設費をかけずに一括借り上げという事で、たちまちの財源が不要という事で大きなメリットがあるという。

 市も建設したオーナーも共にメリットのある事業でそのアイデアには大変感心した。これからの事業は民間活力をうまく利用する必要があると感じた。


      大野市議会・第1委員会室





町屋住宅


 大野市の市営住宅は、とにかくユニークである。
 大野市の二番通りに景観に配慮して、周りの住宅同様、昔ながらの町家風の風情を漂わすよう建設されている。
 建物の外観は町家風でも、建物は近代的でグレードもハイクラスで、居住空間もゆったりしている。
 
 現在、「大野市東二番町家住宅」「大野市西二番町家住宅」とも、若干の入居が可能で、市内外問わず、広く募集している。
 入居の条件として、同居の親族を有するものであること。(結婚見込みの場合は可) 世帯全体の所得が、原則20万円以上32万2千円以下の月額であること。 また災害、不良住宅撤去などで、入居させることが適当である者。 世帯全体で市税などの滞納がないこととなっている。


大野市東二番町家住宅


北棟 RC造 3階建 (全12戸)
南棟 RC造 2階建 (全2戸)

2LDK(A)  62.89u  家賃 49,300〜65,000
4DK(D)   87.16u  家賃 64,500〜74,000

エレベーター・システムキッチン・ベランダ・サンルーム・トランクルーム・ロッカールーム・各戸エアコン1台、BS完備

共益費:4,000円/月 駐車場:屋外4,000円/月 水道費:実費


大野市東二番町家住宅

大野市東二番町家住宅
側面から見るとマンションと判明

大野市東二番町家住宅

正面から見ると全く「町屋」

大野市西二番町家住宅


RC造 3階建 (全10戸)

2LDK(A) 65.18u 家賃 50,500〜65,000
2LDK(A') 64.51u 家賃 50,100〜65,000

オール電化住宅(IHクッキングヒーター・自動湯張り電気温水器・200Wエアコン1台)エレベーター・システムキッチン・倉庫・BS完備

共益費:4,000円/月 駐車場:屋外4,000円/月 水道費:実費


大野市西二番町家住宅

大野市西二番町家住宅

大野市西二番町家住宅

大野市役所

住宅支援

 大野市では、新しく大野市内に住む方の支援を行いっている。
 支援の内容は、転入する前の3年間以上大野市に住民登録又は外国人登録していない40才以下で、大野市に永住するため平成12年4月1日以降に大野市に転入し、家を新築し又は中古住宅を購入し入居した場合、また賃貸住宅に入居した場合
に助成金を交付する。

 助成金は、転入から3年以内に市内で新たに住宅を新築または購入した場合で、住宅新築で最高100万円、また中古住宅を購入で最高50万円である。
 また転入と同時に市内で新たに賃貸住宅へ入居した方(社宅、公営住宅、雇用促進住宅を除く)には、転入者が1人で入居する場合、最高で月額1万円(5年間)、転入者が2人以上で入居する場合 最高で月額2万円(5年間)の助成を行っている

 
 御清水

 御清水の歴史は古く、天正年間(1584〜1591)、織田信長の部将、 金森長近がこの地に城を築いた時、城近くに40間四方の水たまりを設け、 内濠を満たす水の源泉としたことから始まり、昭和60年環境庁の名水百選に選ばれている。 清澄でおいしく、夏は冷たく冬は暖かい御清水は「命の水」として暮らしに活かしてきた。
 朝夕は主婦たちが洗濯や炊事のために集まり、子供達の遊び場、市民の憩いの場としても広く親しまれ、 生活用水としてばかりでなく、地域コミュニティの中心としての役割も担っている。
 御清水の利用は飲料用から炊事用、洗濯用と用途別に分けられているが、 それ以外にはとりたてて規則というものがなく、掃除などは地域の人たちが分担して行っている。 区域外の利用者を制限するわけでもなく、いたっておおらかであり、 こうした御清水を守る人々の広い心に支えられて、この街の豊かな水は懇々と湧き続けてきた。
 お殿様の御用水「御清水」の恩恵が市民の生活を支えている越前大野、この街は水抜きでは語れない。







石川県・輪島市


輪島市役所

石川県輪島市

 輪島市は、能登半島の北岸に位置し、東から南西にかけて3方に山脈が連なり、海岸に面して急傾斜となっている。半島特異の地形がなす海岸線は、輪島港となり優れた自然景観を呈している。
 輪島市に行くには、現在高速バスを利用しなければならないという事で、平成15年開港の能登空港、能登自動車道、また海上交通の整備として「マリンタウン・プロジェクト」を推進している。
 伝統工芸・水産業が主たる産業であるが、現在能登空港に面した臨空産業団地に新しい産業の育成を目指している。
 総面積、268.6ku・人口は約28,000人。

 

わいち商店街活性化事業

 商店街の賑わいの創出と個店の販売力の強化を通じて、商業集積の向上と活性化を図るために、平成8年度から10年度まで行った。
 各種イベント実施が認められ、平成8年度より石川県活性化モデル商店街支援事業の補助を受け、駐車場整備や空き店舗対策を初め、月1回のイベント実施など、ハード事業・ソフト事業に取り組んでいる。
 平成10年度には建設省の「賑わいの道づくり事業」の対象に選ばれ街路整備も行っている。
 観光客、地元住民が自由に利用できる「わいち茶屋」を設置したり、若手作家の発表の場として「わいちギャラリー」を設置するなど、事業に対するユニークであり、毎月1回のイベント(わいちまつり)についても継続的に実施しており、輪島市の中では特徴のある商店街である。

 こうして中心市街地の商店街として、地域に密着した「わいちまつり」を通して賑わいを創出している。
 また空き店舗対策の一環として、商業者の誘致を行うことにより、商店街の商業集積の向上につなげている。
 そして商店街のイメージを具体化し、他の商店街と違った独自の街並み整備を行ってきた。
 しかし各個店における経営者の高齢化や後継者不足が深刻に問題となっている。
 また大型店舗の進出に対抗できるような魅力ある商店街にしていかなければならないという課題も今後の問題となっている。

 

輪島市中心市街地活性化基本計画

 わいち商店街以外の合計5つの商店街の回遊性を高めた整備を進めている。
 基本理念として、「輪島のふれあいに出会える街」という事で、まちなか交流が渦巻く中心市街地を目指している。
 
 主役は市民であり、訪ねてみたくなる商店街づくりを方向性として、歩行者優先の歩いてみたくなる環境を創造してている。
 そして接客・サービス等の勉強会を重ね、駐車場の整備、環境配慮型商業空間の充実・空き店舗の活用を行っている。 
 また「まちなかマップ」の作成、コミュニティバスも運行している。
 
 輪島市の商店街活性化の動きは「わいち商店街」からである。
 以前の中浜商店街の衰退を深刻に受け止め、中浜商店街を輪島で一番元気のある商店街にしようと、平成5年に法人化を行い、役員も理事長をはじめ大幅に若返らせた。
 つまり行政主導ではなく、商店街の若手経営者が危機感から立ち上げたものである。
 そして輪島で一番という目標のもと「わいち商店街」として中市街地の商店街活性化の牽引車となったのである。
 商店街の活性化は、商店街自身が危機感をもって立ち上がり、行政はその熱意に後押しをする形となっている。


わいち商店街
輪島・商店街活性化の起爆剤となった

馬場崎商店街

大正ロマンあふれる街に生まれ変わっている

朝市(本町商店街)

 マリンタウン周辺の朝市は賑わいがある。
 輪島港に水揚げされる水産物が朝市の店頭に並んでいる。
 特にこの季節は松葉ガニのシーズンである。
 当日は、雨にもかかわらず大勢の人がいた。

 輪島港水揚げ浜茹でカニの即売(茹で釜で実演)をはじめ、地物料理屋台村や世界のカニ食べ比べコーナーもある。
 地物ズワイガニ激安購入券も事前に発売し、既に販売予定数に達したという。


輪島市議会・会議室

雨の朝市
雨でも大勢の人が集まっている

輪島駅
鉄道の廃線によりバスターミナルとなった