岡山県笠岡市・矢掛町組合議会

行政視察

2002.10.15〜16

北九州市立教育センター 


適応指導教室「らるご久留米」





北九州市立教育センター


北九州市立教育センターの外観

福岡県北九州市

 北九州市は、昭和38年2月10日、5つの市の対等合併によって誕生した九州で始めての100万都市である。昭和38年4月1日に全国で6番目の政令指定都市となった。
 人口、約100万2000人。

北九州市立教育センター

 昭和55年4月に開所、現在42名の所員で業務を行っている。
 北九州市には210の幼・小・中学校に、約5000名の教員がいるという。


北九州市立教育センターの基本方針

1.北九州市ルネッサンス構想に基づき、教育の今日的課題の解決を図るために、新たな展望に立った事業を推進する。
2.北九州市における学校教育の充実と教職員の資質や能力の向上を目指し、社会及び各学校の要請に応える魅力ある事業を推進する。
3.教職員のライフサイクル(採用から退職までの職能生活の設計)に応じて、経験、年数、担当教科等、校務分掌を踏まえた研修を実施し、専門的な資質や能力の向上を目指す。


北九州市立教育センターに隣接する、
「ふれあい教室」

教育相談事業

1.教育相談機能の充実を図り、教育に関する相談に積極的に応じ、助言・援助に努める。
2.心因性の不登校児童生徒を対象に、適応指導教室「ふれあい教室」「こもれび教室」を開設し、学校への円滑な復帰ができるように相談・治療及び指導を行う。
3.不登校児童生徒の適応指導による学校復帰のための支援方策に係る調査研究を推進する。
4.学校巡回カウンセラーによるいじめや不登校等のさまざまな学校不適応事象に関する相談への積極的な対応と未然防止に努める。
5.多様化した問題事象に対応できる教師を育成するための教育相談研修の充実を図る。
6.委嘱相談員との連携を密にし、教育相談活動の充実と相談員の専門的な資質向上に努める。


教育相談

 幼児、小・中・養護・高等学校の児童生徒や保護者に対し、下記の内容について、電話または来所による相談活動を行う。

1.幼児、児童生徒の養育や教育に関する相談。
2.集団生活に適応しにくい幼児、児童生徒に関する相談
3.いじめ等に関する相談

 教職員に対し、下記の内容について、相談活動を行う。
1.学校不適応、いじめ等に関する生徒指導体制や学級経営等の悩みに関する相談。
2.人間関係、心身の不調等に関わる相談

★来所による相談は、電話で予約し、相談日時を決めて行う

教育相談員による相談時間は、平日の9:00〜17:00とする。
★委嘱相談員(医師、臨床心理士、学識経験者)による相談は以下である。
1.「教育センター教育相談室」
 原則として、第1水曜日13:00〜15:00、第2木曜日、第3水曜日、第4月曜日の14:00〜16:00。
2.「教育センター足立教育相談室」
 原則として、第2月曜日14:00〜16:00、第4月曜日13:00〜15:00、第1・第3水曜日10:00〜12:00。



「ふれあい教室」の相談室


「ふれあい教室」の学習室


「ふれあい教室」2階の体育館
狭いけど、卓球等のできる体育館がある。
建物は、「木」を多く使用している。
また建物内部の角を丸くしている。

適応指導教室

 入級・通所している心因性の不登校児童生徒に対し、早期に学校への復帰が図られるよう、下記の内容で相談・治療及び指導を行う。
 1.個別又は集団カウンセリング
 2.児童生徒の状況に応じた集団体験的活動及び自学自習の援助等
 また、入級・通所している心因性の不登校児童生徒の保護者及び在籍校に対して、早期に学校への復帰が図られるよう、指導援助を行う

 指導期間は、原則として、1年以内。
 開級日は、週5日(月〜金)とし、9:00〜15:00の時程で実施する。


学校巡回カウンセラーによる相談


 専門的な知識を有する医師、臨床心理士、学識経験者の3人でチームを編成し、児童生徒や保護者、教職員を対象に、いじめや不登校、生活の問題に関する相談に応じる。
 1年間に中・養護学校(病弱)は2回、小学校は1回訪問する。
 また、学校からの要請により、随時、小・中・養護学校(病弱)を訪問する。


北九州市立教育センターのエントランス

教育相談研修


 多様化した問題事象等に対応でき、カウンセリングマインドを生かした指導・援助ができる教師の育成 並びに校内研修の充実を目指し、以下の研修を実施する。
 
1.学校カウンセリング基礎講座
   (児童生徒理解のために)
2.学校カウンセリング応用講座
   (学校教育相談の充実のために)
3.教育相談技術
   (学校における教育相談に生かすために)
4.実践教育相談
   (今日的課題の解決に資するために)


子ども総合センター


 北九州児童相談所は、平成14年10月16日から、子ども総合センターとなる。
 子育てに関する悩みや不安、児童虐待、いじめ、不登校など、様々な課題を総合的なに対応する全市レベルの専門・技術的機構として、保健福祉局児童相談所と教育委員会少年相談センター、教育センター教育相談室を集約した。
 戸畑駅南口複合公共施設「ウエルとばた」の12階建のビルの4階5階に位置する。





適応指導教室「らるご久留米」


久留米市教育センター

福岡県久留米市

 福岡県の南西部、九州一の筑後川の中流域にあり、筑後平野の中心部に位置している。
 市域のほとんどが平野で、市街地を取り巻くように田園地帯が広がっている。
 人口は、約234,000人。明治22年市制施行で福岡県南部の中核都市である。
 ゴム産業が基幹産業である。

 また最近のラーメンブームで「久留米とんこつラーメン」が有名である。


らるご久留米

 「らるご」とは、音楽用語で「ゆっくり」という意味である。学校に行けないで悩んでいる子どもたちの成長を焦らずゆっくりと見守っていくという意味で「適応指導教室 らるご久留米」が、久留米市青少年育成センター内にできた。
 心理的・情緒的理由で、登校できない、学校に行きたくても行けない状態にある児童・生徒の学校復帰を設置目的としている。平成5年7月に開設。

 入級までには、教育相談の後、2週間程度の仮入級を行い、入級の審査を行う。
 
周辺が文化ゾーンであり、そうした施設を利用した軽スポーツ・体験活動を重視している。
 

指導員体制と教室の現状

 6名の指導スタッフ(内、1名が嘱託・2名が臨時職員) と学生ボランティアのヤングアドバイザーが数名である。
 臨時職員は1年で交代するため、子供たちとの信頼関係作りや理解に関して、十分な指導が出来にくいという。
 平成14年9月時点、32名(小学生6名・中学生20名、仮通級者6名)で、そのうち市外通級者は6名である。 
 平成14年4月時点は、45名(小学校11名・中学生34名)であった。
 在籍数が多い上、一人一人の不登校になったの理由も様々であるため、個別の対応が必要になるケースが増えている。


久留米市勤労青少年ホーム
 
 市外からの通級も認める

 平成13年度の通級児童生徒は、小学校4年生から中学校3年生で、約80%がしないから、約20%が市外からの通級生である。
 市外の児童生徒については、「久留米市適応指導教室負担金に関する協定書」に該当する場合に認めてる。
 現在、夜須町・小郡市・北野町・大木町・瀬高町・筑後市・八女市・大川市などの広範囲な周辺市町村から通級している。
 最近は、近隣市町村にみも適応指導室が設置されてきてあり、市外からの通級者は減少傾向である。


保護者・学校との連携

 学校復帰のためには、学校・保護者との連携が特に必要であり、担任・保護者との連絡を密にする必要がある。
 保護者会や、「らるご親の会」(ふれあい活動・学習会・グループ討議等)の他、随時、教育相談を行っている。
 学校とも随時、連絡を取り合い、担任者会を開催したり、教室の活動を載せた通信「らるごっち」を発行している。また、サマーキャンプ・らるごフェスタの案内も行っている。


「らるご久留米」の学習室

開級日

 1学期  4/15〜 7/18
 2学期  9/ 3〜12/19
 3学期  1/ 9〜 3/18


 体験活動を重視している。(軽スポーツ・宿泊体験学習・・・年数回・工作・釣り・ボランティア活動・お茶・調理・ビデオ鑑賞)

 

開級時間

 09:15〜09:35  ミーティング(指導員)
 09:45〜10:00  朝の会
 10:00〜10:50  学習T
 10:50〜11:05  休み時間
 11:05〜11:55  学習U
 11:55〜13:00  昼食・休み時間
 13:00〜14:30  午後の活動(体験活動)
 14:30〜14:45  後片付け
 14:45〜15:00  帰りの会
 16:30〜17:00  ミーティング(指導員)


石橋美術館

 「らるご久留米」の隣には、石橋美術館がある。
 石橋美術館は、株式会社ブリヂストンの創業者・石橋正二郎氏が1956年、社会公共の福祉と文化向上のために、郷土久留米市に寄贈した石橋文化センターの中心施設として開館した。
 1977年の増改築を機に現在では、ブリジストン美術館・石橋美術館別館とともに財団法人石橋財団がその管理運営を行っている。
 その所蔵作品は、東京・京橋のブリジストン美術館が所蔵する印象派を中心としたヨーロッパ近代美術の名作群と好対をなす日本近代洋画の名作群で、それらを常設展示している。