岡山県西部環境整備施設組合議会

行政視察

2002.10.10

岡山市東部クリーンセンター ごみ焼却施設 


美馬環境整備組合 クリーンセンター美馬






岡山市東部クリーンセンター ごみ焼却施設


岡山市東部クリーンセンター・全体模型

 岡山市には現在2つのゴミ焼却施設が稼動している。(平成14年12月からは3つとなる。)
 今回は、平成13年8月から稼動している、岡山市東部クリーンセンター ゴミ焼却施設を視察した。

ゴミ処理・・・・・・全連続燃焼式流動床燃焼炉
灰処理・・・・・・・直流電気抵抗式灰溶融炉
ゴミ処理能力・・・450トン/日(150トン/日×3炉)
溶融処理・・・・・・39トン/日
処理対象ゴミ・・・可燃ゴミ
本体工事費・・・・約135億円
設計・施工・・・・・石川島播磨重工業株式会社

リサイクルプラザを併設


ゴミの焼却熱を利用して、発生蒸気による
全量発電を行っている。

構内の冷暖房・給湯・白煙防止に使用した電力も
余るため月に約1000万円程度、売電している。

空冷・溶融スラグ
 
 今回は、特にダスト処理の部分を視察目的とした。
 岡山市東部クリーンセンターは、灰溶融炉で日糧39トンを処理できる施設であるが、まだ諸問題(耐火レンガの問題等)が解決できず、現在1/2程度の処理しかできていない状況であった。
 この灰溶融炉には、焼却炉からの飛灰(9)と不燃物(1)を投入し、空冷スラグとして再資源化している。
 溶けた状態の灰(溶融スラグ)は、電気を通す性質があり、溶融スラグに電気を流すとそれ自体が熱源となるため、新たに供給された灰が順次溶融するという循環が起こるという。
 スラグは、インターロッキングブロック等に再利用している。(現在は一部のみ) 

 
 右の写真は、高さ100mの煙突である。
 下の写真は、その煙突にある展望台からの写真である。
 下の写真の空地には、温泉プールが建設される予定であるという。
 写真ではわかりにくいが、写真の左上の池の右角の三角スペースにフェンスが張ってある。その場所がボーリングした源泉である。

 迷惑施設の地元対策として掘り当てた温泉という事で、温泉プールの追い焚きを含めた電源は、ゴミ焼却施設の自家発電で賄われるという。
 
 
 この施設は24時間稼動の施設である。
 だからプラントの完成時に火入れをしてから以降、トラブルがない限り、燃え続けているという事である。
 里庄ゴミ焼却工場の場合、8時間稼動のため毎日、火入れのエネルギーが必要となる。
 現在、地元の理解が得られずに8時間稼動という制約があるが、地元に恩恵を配慮して24時間稼動を実現する必要があると思う。
 ゴミ運搬は8時間という制約をつけて、ゴミ投入を24時間体制にすればと考えるわけだが、里庄工場の2基ある炉の1つだけでも24時間ではゴミが足らないという。ならば有料で産業廃棄物も受け入れるという発想もあるのではないだろうか。
 これからは自治体の運営も利益を求めていく姿勢が必要なのではないだろうか。





美馬環境整備組合 クリーンセンター美馬


美馬環境整備組合

 美馬環境整備組合はも徳島県脇町・美馬町・半田町・貞光町・穴吹町の5町で構成されている組合議会である。
 この行政区域の人口は約47,000人である。
 
 美馬環境施設組合は、5町のゴミ収集・焼却・リサイクル・最終処分と一括のゴミ処理を行っている。
 岡山県西部環境整備施設組合が1市3町のゴミ焼却処分のみで、ゴミ収集は1市3町でそれぞれ行っているのと随分違い、一括した統一したゴミ処理を行っているのが特徴である。 


美馬環境整備施設組合・クリーンセンター

ゴミ焼却施設

流動床炉・・・・・・72t/日 (36t/16h×2炉)
飛灰溶融設備・・5t/日

粗大ゴミ処理施設

20t/日  粗大ゴミ・不燃ゴミ・・・15t/5h
        資源ゴミ・・・・・・・・・・5t/5h

平成9年4月稼動


飛灰熔融設備


 プラズマ熔融炉による飛灰熔融は当時としては画期的な設備であった。
 しかしランニングコストがかかりすぎるため、ゴミ処理費用全体が高額となっている。
 とにかく3ヶ月に1回程度の補修が必要であり、その上、プラズマ熔融のための電気代が大変な負担となっている。
 100トン以上処理できるゴミ焼却施設ならはせ自家発電がコスト的に可能であるが、それ以下だと無理があるという。
 ゴミ処理は広域化して、大量の処理を行うことにより、コストの削減や合理化が可能となる。

 
 今回の岡山市東部クリーンセンター、またクリーンセンター美馬のそれぞれの飛灰熔融炉は、いろいろな課題があると感じた。
 最終処分場の持ち込み量を抑えるための飛灰熔融であるが、問題点が多すぎると思われる。
 以前、釜石市の直接熔融炉を視察した事がある。
 釜石市は、新日鉄の試験的な熔融処理施設として約20年前に建設されて、まだ現役で活躍している。
 投入口に入るものならば何でも投入できる。実際、自転車・テレビ・冷蔵庫を直接投入していた。
 これからは飛灰だけでなく、ゴミ焼却自体を熔融する時代だと思う。直接熔融炉の場合、フロンまで焼却してしまい、ダイオキシン問題もクリアできる。
 今後の高度ゴミ処理施設に期待したい。


近隣対策


 ゴミ焼却施設の隣には、立派な体育館が建設されている。
 ゴミ焼却施設は、脇町の中心市街地の中にあるため、近隣に対しての様々な配慮がなされているようである。