誠信クラブ
行政視察

2009.02.04




北海道伊達市

「伊達ウェルシーランド構想について」



北海道伊達市

 伊達市は、胆振支庁西部沿岸に位置し、内浦湾(噴火湾)に面しており、。北海道にしては温暖な気候で、「北の湘南」とも呼ばれている。
 合併前の伊達市は積雪量が少ないが、飛地の旧大滝村は、豪雪地帯である。
 伊達市の開拓は、明治3年、仙台藩一門亘理領伊達邦成とその家臣たちの自費による集団移住という独特な形態で行われた。
 日本で初めての住民による環境権訴訟である伊達火力発電所建設差止請求訴訟や日本で初めてのゴミ有料化を実施しており、環境問題の意識が高い事で有名である。
 平成18年3月1日に旧伊達市と旧大滝村が飛地合併し、人口は約37,000人、面積は444.3k㎡である。


伊達市庁舎

伊達市議会・議員控室

伊達市議会

 伊達市議会は大滝区9名、伊達区21名から、大滝区4名、伊達区18名(うち新人3名)の22名で構成している。
 委員会は、総務企画常任委員会7名、文教厚生常任委員会7名、産業建設常任委員会7名、議会運営委員会7名、広報特別委員会7名である。また特別委員会は8委員会となっている。
 会派は4会派20名と無会派2名である。
 議会事務局は、事務局長・庶務課長・庶務係長・議事係長・係員の5名である。

 議員控室は、委員会ごとに机を配置している。
 全議員に自分の机があるのは羨ましい。
 (笠岡市議会は議長・副議長しか机がない。)
 

伊達ウェルシーランド構想

 「北の湘南」と呼ばれ、快適居住地として知られている伊達市に、北海道内からの転入者を中心に、人口は微増傾向が続いる一方で、自然減などの影響により、高齢化率は高く4人に1人は65歳以上で、まだまだ上昇している

 伊達ウェルシーランド構想は、 高齢者や障害者を積極的に受け入れ、新しい福祉の考え方を模索・実践した都市再生事業で、少子高齢社会の中で、高齢者の方のための新しい「生活直結型サービス」を民間事業として創出することで、安心・安全に暮らせるまちづくりと地域経済の活性化を目指した官民協働のまちづくりである。
 この伊達ウェルシーランド構想により、平成14年から様々な事業を展開している。


伊達市議会・委員会室

伊達市の豊かな自然

愛のりタクシー(ライフモビリティサービス)

 伊達ウェルシーランド構想の一環で、高齢者の方の日常の移動をより手軽にする「生活の足」の確保を目的とした会員制・乗合制タクシー「愛のりタクシー」事業について、検討・実証実験・各種協議などを行い、平成18年11月から運行を開始している。
 運行をはじめておよそ1年半が経過した平成20年4月時点で、1日平均約19件の利用があった。その利用者のアンケートにより様々な意見を参考にして、より利用しやすいサービス提供に努めている。
 運行日は、日曜祭日を除いた日の8:00~18:00で前日に電話予約が必要である。
 愛のりタクシーを利用するには、事前に会員登録が必要で、伊達商工会議所で申込を行わなければならない。(会員資格 60歳以上)
 現在、会員以外の同乗も認められるようになった。
 


伊達版安心ハウス

 安心ハウスとは、高齢者が安心・安全に住むことができる良質な建物の総称で、「安心して暮らせる住まい」の普及を民間事業として進めるものである。
 種類によって住宅型・施設型・併設型などのものが考えられる。
 伊達市では、高齢者に安心して暮らせるように
建物の整備条件(戸数・床面積・バリアフリー仕様等)や管理条件(管理期間・緊急通報サービス等)について独自の認定基準を定めた。そして、基準を満たす民間住宅を「伊達版安心ハウス」として平成20年4月時点で、2棟65戸が認定を受けている。
 伊達版安心ハウスは、伊達市住んでみたいまちづくり課移住定住係が窓口となっている。
 


伊達市のPRパンフレット

伊達市のPRパンフレット

伊達市認定優良田園住宅


 優良田園住宅とは、農山村地域、都市の近郊その他の良好な自然的環境を形成している地域にある一戸建て住宅で、多様な住環境の一環として、自然的環境の豊かな地域でゆとりある生活を営むことを求める田園住宅に対するニーズの高まりを受け、平成10年7月に「優良田園住宅の建設の促進に関する法律が施行された。
 伊達市では、上記の法律に基づく基本方針を平成17年3月に策定し、伊達ウェルシーランド構想の一環として、市有地だった「西胆振農業センター」跡地を活用した民間開発による建設事業を進めた。
 認定された優良田園住宅は、伊達市関内地区の豊かな自然・田園風景を楽しめる自然と調和した住環境を形成するため、柔らかな曲線を用いた敷地内道路やグリーンベルトを設置した広々としたゆとりある宅地配置が特徴である。
 平成19年10月より造成と販売をスタートした。
 全53区画、区画面積は127坪~257坪と広いが、平均坪単価は約37,000円である。。
 平成20年4月末に宅地・道路などの造成工事が完了し、平成20年10月時点で53区画中40区画が申込済みとなっている。


地域情報サービス

 伊達市では、伊達ウェルシーランド構想の一環として、地域生活情報の総合案内事業を行っている。
 この事業は、伊達市民をはじめ北海道内外の情報発信のほか、各種紹介、相談、生活支援などの企画開発によるコンシュルジュサービスなど、多方面に渡る様々な情報が一元化された情報センター機能の構築を進めている。

 これらの事業を担うため、地元のIT関連会社が地元企業や団体の資本参加を受けて組織改編を行い、新会社「株式会社アップデート」として平成18年春にスタートした。
 今後は、インターネットを利用した情報発信に加え、各事業等を相互に結びつけ発展させた形で、より地域に根ざした生活情報発信を目指していくという。
 しかし民間事業として継続的に取り組んでいくためには、ビジネス性が重要になるため、新たなコミュニティサービスとしての収益モデル構築の観点からも、今後の展開を研究、検討を行っていくという。

 

伊達市の「元気」について出版されている本

伊達市移住・定住施策

 伊達市のウエルシーランド(豊かな土地)構想は、現市長が東京でのプライベートな研究会で、ウェルシータウン構想を学び、その構想を伊達市で取り組む決断をしたのがスタートだという。
 伊達市の高齢化を逆転の発想で前向きに取り組み、行政と民間が一つになって「住んでみたい・住みやすい」まちづくり」を進めている。
 しかし、移住者向け支援、土地や住宅などの金銭的支援は行わず、「安心・安全に暮らせる街」を目指すことが、結果として移住・定住につながるという考えを貫き
、伊達市の魅力は、「北の湘南」というキャッチフレーズで、新鮮な魚介類・ショッピングの利便性・飲食店の利便性・充実の医療・恵まれた自然(山・海・湖)であり、そうした魅力をPRビデオ・パンフレット等で、積極的にPRしている。
 
 金銭的な支援では限りがあるし、抜本的に移住・定住を促進するとは考えにくい。
 笠岡市においても、まずは住んでみたいと感じて戴く事ができる街づくりを推進することが原点だと思う。
 伊達市の取り組みのように、原点から定住促進を考えなければならないと再認識した。