環境福祉常任委員会
行政視察

2008.11.14




鹿児島県霧島市

「霧島市生活環境美化条例」



鹿児島県霧島市

 霧島市は、鹿児島県中央部に位置し、薩摩地方と大隅地方、また宮崎県を結ぶ交通の要衝で、国道・鉄道などの交通手段が発達し、古くから鹿児島県有数の都市として発展してきた。さらに鹿児島空港の開港、九州自動車道の開通により、その地理的好条件を生かし、国分隼人テクノポリスの指定を受けて、ソニー・京セラ・などのハイテク産業が発展した。
 平成17年11月7日、国分市、溝辺町、横川町、牧園町、霧島町、隼人町、福山町が合併し、新たに「霧島市」が誕生し、鹿児島県で2番目の人口規模となった。
 霧島市の人口は、128,272人、面積は約603.68k㎡。


霧島市役所
(国分庁舎・シビックセンター)

霧島市役所
(国分庁舎・シビックセンター)
図書館・公民館・庁舎の複合施設の総合窓口

霧島市役所
(国分庁舎・シビックセンター)
複合施設

環境基本条例(概要版)

霧島市環境基本条例

 霧島市の環境に関する施策を実施していく上で最も基本となる条例として、平成18年9月29日に「霧島市環境基本条例」を策定した。
 この基本条例は、霧島市の条例としては初めて「前文」を置いて、20の条で構成されている。
 霧島市を取り巻く豊かな自然や近年の環境問題を挙げ、事業者・市民・市が互いに協働して自然と共生をしながら環境を保全・形成することによって、豊かな環境を将来の世代に受け継いでいくことを宣言している。
 この基本条例には、概要版の他に小学生用にまとめたものも作成して市民の意識を高めている。


霧島市天降川等河川環境保全条例


 霧島市には、天降川をはじめとして大小多くの河川が流れており、その中には清流と呼べるような美しい河川もあれば、汚れている河川もある。
 これらの河川について、市・市民・事業者が協働して環境保全を図り、将来の世代へ良好な状態で引き継いでいくために「霧島市天降川等河川環境保全条例」を策定し、平成20年4月1日から施行している。
 この条例でいう「天降川等」とは、霧島市の区域内を流れるすべての河川(一級河川・二級河川・準用河川・普通河川)が対象である。
 一級河川・二級河川・準用河川は河川法に規定されており、原則としてそれぞれ国・都道府県・市町村が管理を行っている。河川法に規定されていない河川を普通河川といい、市町村が管理している。
 この条例でいう「事業者」とは、事業の形態(市・会社・個人経営等)や事業の内容(公共事業・製造業・農業等)を問わず、霧島市内で事業活動を行うものすべてが含まれている。


霧島市議会・会議室

霧島市議会・本会議場

霧島市生活環境美化条例

 霧島市生活環境美化条例は、市・市民等及び事業者が協働して自然と共生した清潔できれいな住みよいまちづくりを推進するために必要な事項を定めることにより、環境共生宣言都市にふさわしい快適で良好な生活環境の実現に資することを目的として、平成20年4月1日に施行した。
 条例策定にあたっては、市民参加型のワークショップを開催し、出された意見を参考に条例案を作成した。
 空き缶、吸い殻等 空き缶、空き瓶その他飲食後不要となった容器及び包装物並びに紙くず、たばこの吸い殻、ガムの噛みかすその他これらに類する物と明確に定義を定めている。
 そして市の責務、市民等の責務、事業者の責務、環境美化モデル地区の指定、具体的な禁止行為の記述、環境美化推進員の任命、関係行政機関への協力要請、立入調査、指導又は勧告、改善命令、罰則を定めている。


市の責務

 市は、清潔できれいな住みよいまちづくりの推進に関する必要な施策を策定し、総合的かつ計画的に実施しなければならない。また市民等及び事業者に対し、自然環境及び生活環境の保全に関する知識の普及及び意識の啓発を図り、自主的活動の促進に努めなければならない、そして市民等及び事業者による自発的な環境美化活動に対して、積極的に支援を行うものと定めている。

市民等の責務

 市民等は、自然を破壊するような行為は厳に慎み、自然環境の保全に努めなければならない。また市民等は、その占有、所有又は管理する土地、建物又は工作物及びこれらの周辺の清潔を保ち、周囲の通行及び生活環境並びに住民の健康へ悪影響を及ぼす状態とならないよう、自らの責任で必要な措置を講じなければならない。そして市民等は、この条例の目的を達成するため、市及び関係行政機関等が実施する施策等に協力しなければならないと定めている。

事業者の責務

 事業者は、その社会的責任を自覚し、事業活動等に当たっては、自然環境及び生活環境の保全を図るため、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。また事業者は、この条例の目的を達成するため、市及び関係行政機関等が実施する施策等に協力するものと定めている。


環境美化モデル地区の指定

 市長は、良好な生活環境を実現するため、特に推進する必要がある地域を環境美化モデル地区に指定することができる。また市長は、環境美化モデル地区を指定しようとするときは、関係行政機関及び霧島市環境対策審議会の意見を聴かなければならないと定めている。

禁止行為

 具体的に以下の6点の禁止行為を定めている。
1.公共の場所に空き缶、吸い殻等をみだりに捨ててはならない。
2.犬を飼養する者は、公共の場所に、飼い犬のふんを放置してはならない。
3.公共の場所において、歩行中に喫煙しないよう努めなければならない。
4.飲食物を販売する者は、飲食物の提供に伴う廃棄物の散乱を防止する措置を講ずるよう努めなければならない。
5.犬、猫その他の愛がん動物の所有者は、愛がん動物の種類及び習性に応じて、適正な管理に努めるとともに、人に危害を加え、又は迷惑を及ぼすことのないように飼養しなければならない。
6.屋外広告物を掲出し、公共の場所においてちらし等を配布することにより宣伝行為を行うときは、まちの美観を損なわないよう配慮しなければならない。


ふれあいボランティアの日

 市は、市民等及び事業者の環境美化に関する意識の啓発を図り、地域社会の一員としての清潔できれいな住みよいまちづくりの日常的な実践活動を促進するため、9月の第2土曜日を「ふれあいボランティアの日」と定めている。そして、市、市民等及び事業者は、ふれあいボランティアの日を中心に、清掃活動及び環境美化に関する啓発活動を行うよう努めるものと定めている。

環境美化推進員

 市長は、生活環境美化の推進を図るため、霧島市に居住する者の中から環境美化推進員を任命することができるとし、環境美化推進員は、生活環境美化の推進に関する啓発活動を行い、生活環境美化の推進に関する啓発活動を行うに当たり、市民等に対して助言を与えるとともに、市長に対して意見を述べることができると定めている。

立入調査


 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、職員に必要と認める場所に立ち入らせ、必要な調査をさせることができる。そして立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならないと規定している。


指導又は勧告

 市長は、規定に違反した者に対し、その行為の中止又は原状回復をするよう指導又は勧告を行うことができると規定している。

公表

 市長は、指導又は勧告を受けた者が、正当な理由がなくその指導又は勧告に従わないときは、その旨及びその内容を公表することができる。また公表をしようとするときは、あらかじめ当該者にその理由を通知し、弁明の機会を与えなければならないと規定している。

改善命令

 市長は、前条の規定により公表された者が、正当な理由がなくその公表された行為を継続して行うときは、当該行為の中止又は原状回復をするよう命ずることができると規定している。

罰則
 公共の場所に空き缶、吸い殻等をみだりに捨てた者、公共の場所に飼い犬が排せつしたふんを放置した者、また改善命令に従わなかったものは、5万円以下の罰金に処すると規定している。


霧島市役所前の市民広場

施行規則

 施行規則には、環境美化推進員の具体的な活動について、また業務報告書・勧告書・事前通知書・弁明通知書め改善命令書の様式も定めている。

感想

 霧島市環境美化条例は、平成20年4月1日から施行されていめるが、従前の牧園町生活環境美化条例が平成16年に施行されていたものを引き続いている。
 このように具体的に条例で定めてあれば、市民の環境美化に対しての意識も高いはずである。
 笠岡市に限らず、どこの街でも人がポイ捨てしたゴミが散乱している事に心を痛めている。
 ゴミを捨てれば自分自身の運まで捨てる。ゴミを拾った人は運を拾うという話を聞いたことがあるが、こうした条例を笠岡市でも真剣に考えなければならないと常々感じていた。こうした霧島市の事例を大いに参考にしたい。


環境美化推進員について

 原則として霧島市立小学校区ごとに2人以内(34校区×2=68人以内)を市長が委嘱して、推進員の任期は2年、推進員の活動費は年額3万円である。
 担当地区内の環境パトロールは、トラブルが予測される場合は2人1組で行う。
 広域な地区・川が流れている地区については、地区を分けて各月ごとにパトロールを行っている。
 軽微なポイ捨てゴミは、収集して地区ステーションに出している。
 不当投棄や多量のポイ捨て等が見つかったときは、市に電話等で場所や状況等を連絡している。
 環境美化推進員業務報告書は、市へ3ケ月に1回、各月分をまとめて7・10・1・4月の10日くらいまでに報告している。

 

環境保全看板